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静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

2016年新作映画ベスト10の話。

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皆さん、新年明けましておめでとうございます!!

 

そして当ブログも開設してから1年間コンスタントに更新し続けることができました。ひとえに皆さんのご愛読(?)のおかげです。1年間で10800件ほどのアクセスを頂いたようです。実際数字はモチベーションになるので本当ありがたいです。今年は昨年の60本は超えたいですねー。今年も1年間よろしくお願いします。

 

というわけで僕が2016年映画館で観た新作60本からベスト10を発表します。

 

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10位:この世界の片隅に

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原作から素晴らしいし、映画にした意味もちゃんとある。

日本人に観て欲しいという意味では今年ベスト。

 

9位:クリーピー 偽りの隣人  

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観てるときはベスト10に入るまででもなかったけど、後に他の人の解釈や感想で好きになった枠。やっぱり映画は観るだけで終わらせるには勿体無い。

年末、今年のベストシーンという話題で「クリーピーの鍋いっぱいのシチュー」という響きで大笑いした。

 

8位:永い言い訳

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記事を読み返したらめちゃめちゃ短くて驚いた。

実はシーン単位で好きなところがいっぱいある映画だと気付いた。「バカな顔」はあのシチュエーションで絶対言われたくない。

やっぱり白眉は、妻の死を知った疎遠だったと思われる知り合いからの宗教勧誘の電話をバックに荒れ放題の幸夫くんの部屋が映されるシーン。改めて字面にすると全く笑えなくてすごい。

 

7位:ちはやふる 上の句

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正直ナメてたのでこれでもかというぐらいやられた。

無双しまくってる広瀬すずの輝きをメインに描くのではなく、それに当てられた凡人たちの奮闘を真ん中に据えたやり方がドンピシャだったのだと思う。特にメガネくんは自分に重なる部分もあり泣けて仕方なかった。

 

6位:ドント・ブリーズ 

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うんうん悩んでこの位置に入れました。観るまでは『イット・フォローズ』をベスト10に入れるか悩んでいたのですが、入れ替わりでこっちがランクイン。単純な面白さなら今年ベスト級と記事に書きましたが、もうベストと言っていい。とにかく88分に詰め込まれまくって時間あたりの満足度が尋常じゃない。天井のガラスのとこが一番ハラハラしたかな。

 

5位:シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

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とにかくバトルシーンが見ていて気持ち良いし、色んなヒーローが出てきて楽しかった(チンパンジー並の感想)。そしてブラックパンサーとスパイダーマンのエピソード0としても胸熱。この作品を経てMCUシリーズが今後どう展開していくのか楽しみでしょうがない。

 

4位:海よりもまだ深く

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自分でも意外なぐらいの高順位。なんだかシビルウォーとは別のベクトルでずっと観ていたい映画でした。なんか本当に座りが良くて。僕が今まで観た中でもトップクラスに優しい映画だったのかなと。因みに本作の町田くんは個人的ベスト池松壮亮でもあります。

 

3位:ヒメアノ~ル

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本当にショッキングで、気持ちの良い作品ではないけど今年一番「映画を観る喜び」を感じられた作品。そしてこの作品がシネコンで多くの人の目に触れたという事実もまた嬉しい。タイトルは今年観た映画の中で一番シビれたシーン。

ちなみに恐らくこれが今年一番読んでもらった記事だと思います。 主に森田剛ファンの皆さんRTありがとうございました。間違いなく彼が今年の主演男優賞です。多分森田くんのことは一生忘れないと思う。

 

2位:シン・ゴジラ

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唯一今年3回観に行った映画なのかな。3回しか観てなくてすみません。

期待したいのに期待できない、でも予告を見るとどうしても期待せざるを得ない…!!そんなグラグラな自分の気持ちを最高の形で救ってくれた作品。

國村隼高橋一生も好きだけど、個人的な推しキャラは吉田ウーロン太演じる経済産業省の町田さんです。電話越しに頭を下げる様がイイ。

 

1位:何者

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 文句なしの個人的今年ベスト。あまりに個人的なツボに刺さりすぎて直視できないレベルだった。三浦大輔に精神的リンチを受けた。

が、ラストシーンとエンドロールにすべて救われる。最高。

映画にそこまで明るくない同年代の友人との話が一番盛り上がった映画でもある。

ちなみに「(何者を観た上でこの映画の)主人公に似ている」って言われた回数が年末までで5回になったよ。嬉しいな(棒)。

 

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というわけで2016年新作ベスト10でした。10本中8本と案の定邦画が多かったです。まあ年間ランキングだとどうしても不利になる4月までが洋画が多めだったから仕方ないね。何より単純に邦画豊作だったと思うし。ちなみに次点は葛城事件、FAKE、太陽、リップヴァンウィンクルの花嫁、イット・フォローズ、アイアムアヒーロー、ケンとカズあたりです。

 

敢えてワーストを挙げるなら間違いなく『家族はつらいよ』ですね。劇場で映画を観るのがこんなに苦痛だったことはもう今後ないんじゃないかな。誰も観てなくて愚痴れないのが尚更つらいよ。

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では皆さん、今年も良き映画ライフをお送り下さい!今年もよろしくお願い致します!

 

新作映画レビュー060: 『太陽を掴め』

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監督:中村祐太郎

出演:吉村界人、浅香航大岸井ゆきの、森優作、三浦萌、内田淳子、松浦祐也、古館寛治、柳楽優弥

 

 

大晦日ですね!良い映画ライフ送れましたか!

 

今年の映画締めは(厳密にはローグワン2回目だったんだけど)テアトル新宿この世界の片隅に…ではなく太陽を掴め!!でした!掴んだよ!!

 

新鋭の中村裕太郎監督(弱冠26歳)が若手のホープたちと作り上げた意欲作ですね。ちなみに氏の作品は『あんこまん』『雲の屑』は観てます。雲の屑は大好き。

 

今作でも終盤の熱量はさすが中村監督だなと思いました。吉村界人演じる八方塞がりな若者が、彼にとっての太陽たるヒロインを掴もうとするための我武者羅な叫びがガツンと響きました。正直達者な演技をする人ではないと思うけど中村監督と一丸となって発する熱がこっちまで伝わってくるようなシーンでした。ロケーションが割と何でもない公園のベンチなのもなんかいいよ。兄の来訪の後部屋で一人キレるシーンとか、映画全体のテンションが彼のエモさによって押し上げられていた。とても良かった。

 

ただその後の押入れの中(?)のくだりでちょっと鎮火されちゃった感じは否めない。あと内田淳子さんとの関係性は台詞じゃないところでもっと示せたらよかったと思う。「あなたは私の言う通りにしてればいいのよ」の一点張りだったから、ベッドのシーンみたいのがもっと見たかった。

 

浅香航大さんって初めてちゃんと見たんだけどシンプルにかっこよかった。黒で統一されたコーディネートとかたまに見せるちょっと荒れた感じとか…声もいいなあ。

 

岸井ゆきのさん演じるヒロインの描写にはかなり不満があった。彼女が一線を越える理由がほとんど伝わってこなかったので悪い意味で驚いた。その場の空気に流される芯の弱さを持った彼女に岸井さんのルックスや雰囲気はとてもマッチしていたと思うけど、いかんせん話の方からもっと裏打ちがあればと勿体無さを感じた。

 

なのでどうしても彼女に関しては性悪というか、劇中の台詞を借用するなら「なんなのお前」「ビッチ」という印象が拭えない。ここが一番残念に感じた。相対的にヤット(主人公)が求めるものにこっちが肩入れできず、全体的にノレない感じになってしまった。彼女を嫌っていたあの子に幸せになってほしいって思ったの自分だけじゃないよな……。

 

指摘が多めになってしまったけど、とっても応援したくなる、熱が伝わってきた作品です。

 

では皆さん、良いお年をお迎え下さい!

新作映画レビュー059: 『ドント・ブリーズ』

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監督:フェデ・アルバレス

出演:ジェーン・レビ、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾバット、スティーブン・ラング 他

製作:サム・ライミ

 

 

評判を聞いてあらすじだけ読んでいきました。もうこれが一番言いたいことなんですけど、予想を遥かに超えて面白かったですよ。単純な面白さだけなら今年ベスト級です。僕はホラー映画が得意じゃないしところどころ半目で観てたんですけど、観終わったあとは面白さがすべてを上塗りしていて興奮が収まりませんでした。あれだけ限定された空間(2階と地下の一軒家)で盲目の老人と盗人3人がすったもんだするだけでこんなにエキサイティングなんですか?映画ってすごいね。観る前は「お、88分!丁度いいね~」と思ってたのですが「え、(良い意味で)188分と見間違えたのかな」と本当に思いました。濃かった。特濃。年末にこういうのがぶっこまれてくるからたまりません。たまんねえ!!!!

 

僕の中で「面白い映画」って得てしてその場限りのものになりがちで、観て2ヶ月もすると何も覚えてないみたいなことがザラなんですけど、この映画はそうはならなさそうです。ただのホラー映画にとどまらないものがあるというか。なぜかっていうとこの作品はホラー映画言えど、純粋な人間対人間の構図であるから。もっと言えば被害者対加害者の関係性が描かれているからだと思います。その一筋縄ではいかない割り切れなさがビターな後味として残っている。

 

個人的にはあるものを通して盲目の老人が「侵入者が3人いる」ということに気づいた時、少し怯えたような表情をした瞬間が白眉でした。この時僕は13日の金曜日におけるジェイソンだと思っていたこの老人が単なる一般人かつ一方的な被害者であることを思い出してハッとしたのです。ましてイラク戦争に従軍した結果視力を失ってその後あんなことがあったのでは全くこの人のことを怖がったり、することを非難したりなどできません。盗人死すべし!!

 

気持ちとしてはそんな感じだったのですが、それだけに止まらないのがドント・ブリーズ。おじいさんが我々の同情心を振り切るクレイジーさを発揮して話をドライブさせていくところが最高でした。かと言ってヒロインを応援するとおじいさんの口の中にあれぶっ込んだりするしもう俺どうしたらよかったんだよ。

 

勿論ヒロイン側も強盗に走るだけの動機はあったし、家主が盲目とわかれば躊躇もする人間的なところはあるわけなんですけど、だからこそ向こうも人間だからどっちが勝っても後味悪いよお。全部社会が悪い!

 

というのは冗談としても、社会問題の被害者二人が富の奪い合いをしてるっていうその様自体がホラーになってるって風刺的なところもあるんだろうかね。それもまたやだ!!でも最高に面白いのもまたまたやだなー!!!最高!!最高に最悪なのが最高!!

 

新作映画レビュー058: 『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』

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監督:ギャレス・エドワーズ

出演:フェリシティ・ジョーンズディエゴ・ルナ、アラン・テュディック、ドニー・イェンチアン・ウェンベン・メンデルソーン、リズ・アーメット、マッツ・ミケルセン、ジミー・スミッツ、フォレスト・ウィテカー

 

内容に触れてるので未見の方は読まないほうがいい!!

 

実は15日の25時の回で観ていたんですが、28日に二回目を観るまで放置しておりました。まあ1回目がほぼ最速上映に行った挙句延々うとうとしていたという失態を犯したからというのが大半の理由なのですが。いやでも僕だけが悪いわけじゃないと思っている。理由は後述。実際クライマックスのスカリフの戦いまでは2回目でもだるかった。まして1回目はスカリフですらだるくて、ラストの10分でやっと起きた。

 

この映画の良いと思えたところはEP4のモノを使った画面がかっこいいという点に尽きる。ファンの皆さんが俺たちの見たかったスターウォーズと言いたくなるのもとってもわかる。煙から出てくるAT-ATみたいなやつ、地平線に浮かぶデススター、そして何よりベイダー卿無双。あまりのかっこよさに震え上がった『GODZILLA』のゴジラ初登場のシークエンスが抱かせた期待を裏切らない出来だったと思う。ここは大いに評価したい。というかこれら見たさというのが2回目に行った理由の半分。

 

じゃあもう半分はと言われると、分からないことが多かったから、だ。冒頭からかなり早いテンポで会話が続く上に知らない人の名前がポンポン出てきて面食らった。その中で「何のために何処へ行く」「この人はこういう人」という情報ももたらされるので僕の頭はパンクしていた。2回目にもなると「あ、ここでちゃんとセリフが入ってたんだな」「この人はこういう人なんだな」など納得するところも多かったけど1回目は正直辛かった。僕の場合わからないことがあるとほっとかずに考えながら観てしまうので目の前のシーンに集中できないことが多い。ちなみにMIローグネイションとかもそんな感じだった。

 

加えて単純にキャラクターに魅力を感じなかったのも辛かった。ここは2回観ても特に変わらなかった。皆さん揃って帝国と戦う動機が弱い(あるいは伝わってきてない)と思った。特にジンはソウに「帝国の旗が立つのを黙って見ているのか」とか言われて説得された風だったけど、こちらにはジンとソウの関係性がいまいちわかってないので全然納得できなかった。内心そういう正義感はあったけど捨てられてやさぐれてただけだったのかな。せめてソウとの別れのシーンは台詞だけで処理せず描くべきだったんじゃないのかと思ってしまった。ソウが「俺を殺しにきたんだろ」などといきなりヒスってるのもよくわからなかった。そういう訳わからなさを残したままソウは死んで話が進んでいくからいまいちノレなかったんだと思う。ソウの何だったんだ感はいまでも拭えてない。

 

だから各々のメンバーがジンを信用してチームローグ・ワンになっていく過程もなんかアガらない。というか過程があまりない。なし崩し的にともに行動しているだけで、命懸けで使命を果たすはぐれものチームにはあまり見えなかった。2時間半で旧作ファンサービスやりながら新しいキャラを出して紹介して仲良くさせて殺すのは大変なんだと思うけどもう少しどうにかならなかったのか。あ、でもK2SOは大好き。取り残される無能ドロイドコンビは彼を見習え。というか有能すぎてなんであの型のドロイドがのちのシリーズにいなかったんだとすら思う。高級なのかな。

 

敢えて言うなら僕がここで語った不満点はフォースの覚醒が完璧に達成したことでもあると思う。比べるものでもないかもしれないけど、コンセプトとしても僕は断然エピソード7を支持したい。

 

あとドニー・イェンが最期にアップになるシーンで杖に仕込んでたライトセーバーを発動させて、そのままなんやかんやでベイダーと戦って死ねば(例え瞬殺でも)それだけで100億点だったんだけどなあ。そこも超残念。やれよ!!!

新作映画レビュー057: 『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ』

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  『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー

監督:坂本浩一

出演:飯島寛騎、西銘駿、瀬戸利樹、山本涼介、松本京恭、磯村勇斗、松田るか、大沢ひかる、柳喬之、小野塚勇人、甲斐翔真、工藤美桜、白石隼也竹内涼真棚橋弘至、鈴之助、山本千尋高野洸博多華丸野村宏伸佐野史郎

 

 

タイトルが長え。

 

今年もこの時期がやってきた。去年の冬映画は惨憺たる結果だった。鶴太郎と竹中直人のアドリブ合戦は超笑ったけど…もう悲惨だった。あれが制作過程に事故がなかった結果だったのなら逆にすごい。

 

基本的に冬映画(MOVIE大戦シリーズ)はテレビ放送中の現行ライダーのスペシャルストーリーと、10月で放送が終わった先輩ライダーのアフターストーリー、そしてその二つの話が合流して二大ライダーが共闘するMOVIE大戦パートの三部構成が例年のパターンだった。去年から最初から最後まで二つのライダーが共闘する構成に変えてきて、今年はそこに更に3人の先輩ライダーが参戦する形になった。

 

まず良かったのは現行のエグゼイドと先輩のゴーストの話がベースとしてしっかり成立していたこと。エグゼイドは研修医、ゴーストは一度死んで蘇った高校生というそれぞれの立場がやりとりを通して相互作用的に引き立っていた。特に永夢には身の回りに後輩のような立ち位置のキャラも完全に信頼できる対等な力を持った味方もいないから、タケルとの関係性は新鮮だった。というか単純にエグゼイド本編がギスりすぎているので安心感があった。信頼できる仲間っていいね(小並感)。ラストのひと悶着からのやりとりは唐突すぎるけど蛇足ではなくとてもグッときたよ。

 

そしてその土台の話に先輩ライダーたちもきっちり絡んでくる仮面ライダーには春映画というのがあって(『仮面ライダー1号』の記事参照)、そっちは例年話がめちゃくちゃなところに最終決戦で先輩方が大挙して押し寄せてくるので何の感慨もないんだけど、今回はラストの5大ライダーの横並びにカタルシスを感じられた。

 

特に仮面ライダードライブ、泊進ノ介は三人目の主役と言っていいレベル。後輩たちの危機的状況に変身して助太刀できないもどかしさを抱えながらも刑事として、そしてベルトはなくても仮面ライダードライブとして敵に立ち向かう姿は感慨に堪えないものがあった。しかも一つ下の後輩のタケルがその信念を受け継いでいて、後輩(年上の医者)に説教する場面まであっておお、もう…。タケル殿がああやって感情をむき出しにするのって意外と珍しい気がした。高校生のくせに最初っから利他的な人格者だったからな。でも怒るのも他人のためってのも彼らしい。あのシーン好きだなー。生身アクションが大好きな坂本監督の心の声にも聞こえたよ。久しぶりに登場した仮面ライダーウィザード、操真晴人も相変わらずで安心した。本当に今何やってるんだよって思うけど、たぶんプラプラしてたらたまたま今回の件に関わっちゃったんだな。

 

アクションシーンは今までの坂本監督作品以上のてんこ盛りで目がどっと疲れた。ただサービス精神からくるフォームチェンジラッシュが勝つ手段でなく目的化しちゃってる気もするし、シーンが変わるともう姿も変わってたりしてそこはちょっと、まあキツく言うなら雑かなとも思う。一回の変身の演出にこだわりまくる柴崎貴行監督ほど大事にやれとは言いませんけどね。とは言え出してくれること自体は本当嬉しい。オールドラゴンとかタイプフォーミュラとか大好きなので。

 

呼べば絶対出てくれそうな佐野岳がいなかったのはマジで残念だったけど、総じて大満足です!!

 

 

 

 

来年の春映画はあれが帰って来るみたいで楽しみだなあ!!!!

 

 

新作映画レビュー056: 『この世界の片隅に』

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監督:片淵須直

原作:こうの史代

音楽:コトリンゴ

出演(声):のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞小野大輔潘めぐみ岩井七世 、 澁谷天外 他

 

 

僕が『シン・ゴジラ』を見て「これは!!!」と思ったカットで、首相官邸の前でシュプレヒコールが鳴り響く中仕事を続ける巨災対メンバー、の後ろで掃除のおばちゃんがカップ麺の容器やらがパンパンに詰まったゴミ袋を片付けるカットというのがありました。巨大不明生物が現れても、人は食べるし、ゴミは出ます。ゴミを捨てる人もいるし、その人もまた巨大不明生物が出現したその世界に生きている。考えれば当たり前のことですが、そういうディティールを描くことがその作品の世界を豊かにすると思うわけです。これで僕が作り手の人だったらかっこいいですね。

 

この映画はその掃除のおばちゃんたちを主人公に据えた戦時中のお話です。毎日洗濯して料理して畑仕事して…。戦争映画だったら画面の端にチラチラ映るかどうかってレベルの人たち。そんな話なのにどうしようもなく豊かで面白い。生活の中にあるアクションや達成感、種々の感情をつぶさに捉え、その喜びを僕らに疑似体験させてくれる。何をするにも手間がかかり、基本的に何かが不足している時代。生活レベルの困難を身体と頭を使って乗り越えることで発生する喜びが自分のことのように嬉しくなってしまう。僕は老人たちが「昔はモノはなかったが心は豊かだった」とかそういうこと言うのがめっちゃ嫌いですけど、この漫画を読むと自発的にそういう風に思える。人に言われて受けれいたくないことでも、言葉でなく体験できれば本心からそう思えるというのはフィクションの力かもしれません。そんな漫画です。すごい漫画です。

 

シン・ゴジラ』におけるゴジラはこの作品における戦争です。もっと言うならそれは空からやって来る。しかもゴジラと違って見えにくいのでいきなりきます。個人的にアニメ化の恩恵を一番感じたところです。怖いんだよ空爆が。それを映画館の音響でフィジカルで体験できるのが最高。家のテレビで観るのとは感じ方が全然違うと思う。アニメという意味では、割にゆっくりな動作が多い日常パートと、物凄い速さで落ちてくる焼夷弾(?)の対比も非日常感がとても出てた。アニメ映画化した意味がしっかりある。

 

だからよく見る終戦の玉音放送の瞬間も悔しさが伝わってくる。質素倹約という形で協力して、種々の犠牲も払ったのに負け。戦争に賛成とか反対とか(そもそも状況に巻き込まれてるだだし日々の生活に精一杯なのでそういう話が一切出てこないのもいい)関係なくそこは理屈抜きで悔しいんだろうなと。

 

あとグッときたのは戦争が終わっても明日も明後日は来るってところ。当たり前なんだけど。そんなことで感動しちゃえるんですね。

 

すずさん(と妹)はかわいい。幼少期から同じ声なのはちょっとあれだけど。ツレは周作さんがかわいいって騒いでた。

 

 

 

新作映画レビュー055: 『アズミ・ハルコは行方不明』  と『私たちのハァハァ』

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監督:松居大悟

出演:蒼井優高畑充希、太賀、葉山奨之、石崎ヒューイ、山田真歩、菊池亜希子、芹那加瀬亮

 

少し内容に触れます!

 

とってもお久しぶりです。約1ヶ月ぶりの投稿となってしまいました。投稿をサボってたというか映画館自体行けてなかった半分行かなかった半分で。気付けばもう年の瀬ですね。へえ。

 

松居大悟監督(弱冠30歳)の前作『私たちのハァハァ』は去年の僕のベストムービーでした。つまり生涯ベスト級。勿論前から期待はしていたわけです。

 

『私たちのハァハァ』が「女子高生たちが地元という現実の外に出て壁にぶち当たる話」と、言わばまっとうな青春映画だったのに対して、今作で描かれたのは「地元という現実から逃れられない人たちが真綿で首を絞められるように環境に追い詰められていく話」でした。真逆なわけですね。途中までは。結局アズミ・ハルコは行方不明になったのではなくそこから逃避していたわけで、逃避してからでなく逃避するまでの話という点でも『私たちのハァハァ』とは逆のアプローチで女性を描いている。

 

思えば松居監督のさらに前作の『ワンダフルワールドエンド』も最終的に女の子二人で逃避してるのかしてないのかという微妙なラインで落としていました。あれも相当フィクショナルな演出をしてましたけど。「女と逃避」は最近の氏のテーマなのかもしれません。

 

 逃避と言うとネガティブイメージなワードですが、それをポジティブに描いている点もまた一貫しています。「消えちゃえば?」と軽いノリでね。僕は松居監督のそういうところが好きだなと改めて思いました。逃げずに壊れるぐらいなら逃げた方がいいですよ。僕自身この国で生きていて逃げることに不寛容な空気を感じているからハマるメッセージなのかもしれません。

 

本作に関してはこの逃避のディテールを描かないところや女子高生ギャングの非現実的な演出、時制をシャッフルしているのは賛否分かれるだろうなと。トークショーにきた池松壮亮が「よくわからなかった」とコメントしていたのは笑いました。仲いいからなんだろうけど。僕も観てる時は少し戸惑いました。

www.cinema-life.net

 

時制のシャッフルに関しては僕は嬉しかった。嬉しかったというのも、個人的に「地方の閉塞感」ってちょっと食傷気味なので普通に見せられても辛かっただろうからです。ただ、執拗に繰り返される車での移動シーンとか、どこにいても同級生ネットワークが張り巡らされてて名前で呼ばれちゃう感じとか、痴呆老人に追いつめられる主婦とか、成人式の派手な格好とか地方演出もとても上手だと思いましたけどね。原人並みのジェンダー観なおじさんたちはちょっとやりすぎかなと思ったけど笑

 

そういう意味ではJKギャングもスパイスとしてアリだなあと。「徒党を組んで逃げずに戦う若い女性(ティーン)」という意味で晴子とは逆の方を選んだ結果と解釈しました。映画的に映える形の演出としてアクション(暴力)するギャングという設定が添加されたのかもしれませんね。

 

あとやっぱり現代を生きる若い女性の演出をさせたら右に出る人はいないんじゃないかってぐらい皆素晴らしかった。特に高畑充希は『怒り』に続いてやられたなー。もう大好きですもん。ピロートークのウザさ最高。

 

「若い女性を取り巻くキツい状況を甘やかしなしに描き、最後はこれ以上ないぐらい優しく落とす」という意味ではやっぱり『私たちのハァハァ』と同じラインだと思います。ハァハァは上げて上げて思いっきり落として最後にちょっとだけ上げるって塩梅が最高だったのでその点では及ばないかなーやっぱり。ただ併せて観ると通じる部分と逆の部分が見えて面白いかも。というわけで『私たちのハァハァ』もお勧めです!!!