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静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

何故映画を観るのかみたいな話。 接触篇② 『クロニクル』

パシフィック・リム』を機に久しぶりに特撮以外の映画を映画館に観に行き、アバンタイトルで感動してネットで宇多丸に出会った当時大学一年生。結果所謂(ハードル低めな)自称映画好きとも言えなければシネフィルと言われる方々の域には到底達さない中途半端な生き物になるまでの話。

 
第2段階はストレートに「映画ってこんなに面白いんだ」と感動した段階と前の記事には書いたのだけど、その作品が『クロニクル』なんだから自分で言うのもなんだが手に負えない感じがする。これが例えばミッションインポッシブルとかBTTFとかだったらいいけど童貞こじらせた高校生が超能力で父親とシアトルぶっ壊す話なんだもん。
 
あらすじ。
アメリカの高校。スクールカースト最下層と哲学者の言葉引用したりするインテリ気取りなそのいとこと生徒会長選挙に立候補するカースト最上位黒人の3人組がテレキネシスゲット。スカートめくったりいたずらするのを手持ちカメラで撮影したり、ほのぼの楽しそうだったけど…。
 
寝たきりの愛する母と暴力的な父の下の一人息子という、親の問題に一人で向き合わなければならぬという一人っ子のデメリット全開の虐めらっ子が主人公。自分には何もないとわかっていつつも誰かに認めて欲しいわけで、その承認欲求は超能力をきっかけに気のいいあんちゃんないとこ一人では賄いきれないレベルに肥大化。極め付けにあまりに日常的で残酷な2つのきっかけが彼を後押しし狂気に駆り立ていく。
 
ちょっと客観的な話。
書いてて思ったけど、道を踏み外すのに日常的で残酷なきっかけが2つある前に超能力って現実にない要素が加わった結果クライマックスがああなるってのが何というかフィクションの面白いところだなと。超能力がなければただの殺人者が生まれるまでのヒューマンドラマだっただろうから。(それはそれで大好き。詳しくは後述)
 
手持ちカメラが高校生の日常を描くのにハマってるのは勿論だけど、超能力で手持ちカメラを浮かせて劇映画のような演出もでき、そのカメラマンは主人公なわけだから、アングルが心情変化を物語ることにもなる。要するに超能力、高校生、手持ちカメラの三要素がガッチリ噛み合って相乗効果を生み出しているというのが(皆言ってますけど)この作品の優れたところだなと。
 
ここからは個人的な話。
敢えてさっきは「狂気」という言葉を使ったのだけど実はめっちゃ使いたくない。それは世間一般、例えば「高校生がシアトル破壊」というニュースの見出しだけ見て「怖い」「若い人何考えてるかわからん」「死刑」「狂ってる」って思考停止してる奴らが張るレッテルだから。ニュースにはわかりやすい見出しが必要だから。しかも1週間後はおろか次のニュースの時にはもう忘れてるんだろう。
 
犯罪者の狂気と言われるものは突然発狂してナイフを振り回すような単純なものでなくて、それまでの人生で積み上げられてしまった鬱屈や怒りというベースががあって、それがふとしたきっかけで爆発して生じるものなのであって、それはニュースじゃ絶対にわからないことだ。(犯罪者の気持ちなんて大半の人は「自分はならないから関係ない」と思って興味ないんだからそりゃテレビや新聞は取り上げないんだろう。)
 
それがこの作品で一番痛感したことだった。正直それまで1ミリも考えたことなかったので衝撃的だった。「人を殺してみたかった」などとのたまう奴にだって理由がある。だから僕はニュースとか見てもその犯罪に走った理由を考えていきたいと思う。勿論犯罪は駄目なんだしやったら罰されるべきだけど、その前に人間なんだからもうちょっと考えてあげましょうよってことですよ。そんなにニュース見ないけどね。
 
まあそういう教訓を得たのも一人っ子で年も近くて承認欲求まみれという意味で近い立場にいるアンドリューという男の話をここまで丁寧に、そしてなにより単純に面白く(これ大事)描いてくれた人たちがアメリカにいるという事実に励まされたからだし、映画の魅力にあてられるのに十分な作品だったと言える。僕はこの犯罪者のことを一生忘れないだろう。
 
因みに主演のデイン・デハーンはマーベルの手によって黒歴史へ葬られたアメイジングスパイダーマン2で幼馴染かつ宿敵という美味しいポジションのハリー・オズボーンに抜擢されたり、生徒会長役のマイケル・B・ジョーダンはサンダンス映画祭で絶賛(すごいの?)された『フルートベール駅で』に主演した挙句、ロッキーの新章第一段でロッキーに弟子入りする元宿敵の息子役にまで躍り出た。ファンタスティックフォー?知らんな。
 
もう一人、クロニクルではマット役をやってたアレックス・ラッセル君も知らん。3人の中では彼の演じるマットが一番好きなので非常に悲しい。イケメンではないんだけどね。舞台とかドラマやってんのかな(適当)。
 
本作を知ったきっかけが今では舌打ちしながらスキップするYouTubeの動画の前の広告(予告編)がめちゃくちゃ面白そうだったというのがきっかけなのだから、人生わからないもんだと言わざるを得ない。その③に続く。