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静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画レビュー014: 『ロブスター』と人間らしさ。

『ロブスター』

原題:The Lobster

監督:ヨルゴス・ランティモス

出演:コリン・ファレルレイチェル・ワイズベン・ウィショー、レア・セドゥ

 

予告から気になっていた(一部で)話題作ですね。新宿シネマカリテで観てきました。設定が面白い作品なのでWikipediaからあらすじを。

  

家庭を持ち、子孫を残すことが義務付けられた近未来。妻に捨てられてしまった男デイヴィッドは街のルールに従い、はずれにあるホテルへと送られる。そこでは45日以内に自分の配偶者となる人を見つけなければならず、見つけられなかった場合は動物に姿を変えられてしまうという運命が待っていた。デイヴィッドは他の参加者と共に配偶者となる人を見つけようとするがうまくいかず、独身者の暮らす森へと逃げ込む。森では独身者のリーダーが決めた「恋愛禁止」のルールがあったが、彼はそれを破り、独身者の一人である"近眼の女"と恋に落ちてしまう

 

いきなり話題は逸れますが、シネマカリテでロブスターと言えばカリテと同じビルの2Fにあるダンシングクラブってシーフード屋さんですよね。カリテへ下る階段の前でよく下りてきたお客さんとすれ違います。アメリカスタイルの本格シーフードレストランと聞けばよくありそうな感じですけど、特徴的なのは手づかみでシーフードを食すところで。まあ殻とか結局手で取るし割り切ってて良いなと思います。勿論ロブスターも食べられますよ。若干値が張るので行けてないんですが、いつか行ってみたいなあ。

 

作品の話に戻ると、ギリシャ・フランス・アイルランド・オランダ・イギリスの共同制作だそうですね。ジャンルは見るとディストピアを舞台にしたSF恋愛コメディみたいな…?SFなのかな。よくわからない。とにかく全体的に妙なムードに満ちていて、変な映画なのは間違いないと思う。掴みどころがなくてどんな映画だったかと言われるとめっちゃ困る。解釈が開かれているとも言えるかもしれない。

 

ただ、この作品を観てから「人と動物の違い」について少し考えると、「集団行動や社会生活を仕切るための明文化されたルール」というのに思い当たる。けど、他人が決めたルールに従っているだけでは人間らしいとは言えなくて、結局自分の欲求に基づいた意思で行動することが人間を人間たらしめるのではないかと思う。

 

この作品で主人公が所属する共同体はどちらもルールでがんじがらめで、そこから欲求に基づいた意志で脱しようとする主人公はとても人間的に思える。ホテルにいる間マジで何考えてるかわからなかっただけにね。そして、ラストで主人公が愛する人のために取ろうとする不条理な行動がその人間らしさの極地なんじゃないかと思う。別に愛する人のためでなくてもいいんだけど、有り得ない不条理を自分の意志で実行しようとするということがとても人間的に見えた。

 

哲学者のカントが、(超要約すると)「本当の自由とは自分自身で決めたルールに自分で従うことである」的なことを言ってたのをちょっと思い出した。

 

ってもっともらしいこと書いたけど、まあ観てる間はそんなこと1ミリも考えてなくてただただシュールな世界についていくのに必死でしたけどね!あとから考えるとこういうことだったのかなって、書いてる間に評価が上がるタイプの作品でした。語ろう!