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静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画レビュー023: 『リップヴァンウィンクルの花嫁』

『リップヴァンウィンクルの花嫁』

脚本・監督:岩井俊二
 
 
リップヴァンウィンクルってなんだろうと思ってWikipediaで見てみたら、西洋版浦島太郎と言われてる民話だそうで。「木こりが森の奥に踏み入ったら謎の老人に呼ばれてその仲間と遊んで酒盛りしてたら20年経ってたでござる」って話なんですって。
 
岩井俊二はインタビューで「不思議の国のアリスっぽいなとなんとなく思ったけど酒盛りのシーンから展開が変わることが多くてやっぱりリップヴァンウィンクルみたい!」的なことを言ってるぐらいなのでそこまでガッチリ沿って作ってるわけでもないのかな。
 
3時間の長尺で体感9割以上ぐらい画面に映ってたにも関わらず飽きの来ない黒木華の魅力で半分ぐらい持ってた気がする。「くそー」とかめっちゃ可愛かったからな。藤岡弘、とか80分で5割ぐらいしか映ってなかったけどちょっと胃もたれしたもんな。
 
加えて普通に笑っちゃうようなシーンがちょいちょいあって、岩井俊二に対して勝手に持ってたアートなイメージを裏切られたというのもあり3時間苦にならなかった。内容を一切知らずに行ったのも良かったのかも。現実と非現実の境目をうろうろしてるような不安感があって、どこに連れて行かれるか全く読めない楽しさがあった。クラゲの水槽の水には言及するのに赤いスポーツカーには触れないのかよとか笑 
 
ここまで感想であとはよくわからないことをつらつら書いてます。
 
あの2人はSNSがなければ出会えなかったわけで、一方でそれきっけで壊れる人間関係もある。「そんな具体的な内容の愚痴垂れ流すかよ…」と思わなくもないけど、その内容だって恐らく彼女が花嫁に選ばれた理由でもあるところがなんか面白い。
 
おかげで色々大変だったけど、紆余曲折あって元の生活に戻ったし良かったのか悪かったのか。不思議の国に案内されるきっかけがSNSってのが現代的なのか何なのか。正直掴めていない。掴めてから書けやって話なんですが。
 
ただSNSは「現代日本人が複数持ってる(とされる)名前の内の一つ」ってだけで、描こうとしてるのはそこなのだと思う。考えてみれば海外の人って基本的に実名でSNS使うなあ。
 
最終的に肉親がその全身で娘を感じるというシーンで「やっぱり携帯じゃなくてフィジカルな繋がりって大事だよね」をやってるのかなとも思ったけど、それもどうかなと思う。というのもあのシーンで安室が一滴も涙を流していないように見えて、あれすら演技なんじゃねーのって思ってしまったから。かなり注意深く見てたけど流してなかったと思うんだよなー。本当に上記のことを伝えたいなら安室も泣くところなんじゃないかって。うーん。難しい。
 
でも「嘘の名前」を使った結婚式のサクラで知り合った人達と仲良くなるくだりもあったりして。多分それ自体の善し悪しを描こうとしてるわけじゃないんだな。岩井俊二が思う現代の日本の現実を岩井俊二なりにデフォルメしてそのまま見せてるだけなんだと思う。さすがに結婚式で過去の自分を演じる人たちが出てくるシーンはキモッ!!って思ったけどあれも別に露悪的にやってるわけでもないような気もするし。いやそもそもフォーカスしてるのは「演技」という部分…?もうわかんないー。
 
というわけで匿名でTwitterやらブログやらやっている私にも少しわかる部分があるようなないようなという。そんな記事を書いてからこれから向かうのは入江悠監督最新作『太陽』と、僕モテメルマガのイベントというのがまた乙です。