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静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画レビュー026: 『下衆の愛』

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『下衆の愛』
監督:内田英治
出演:渋川清彦、岡野真也忍成修吾、細田善彦、内田慈、木下ほうか、津田寛治古舘寛治、でんでん

実家に仕事が欲しい女優連れ込んだりして自堕落してる売れないインディー映画監督の前に才能ある若い女優が現れ、その女優主演の新作製作に乗り出すけどまあ色々あるよねというお話。


「監督とプロデューサーは、全員クソ野郎!」のというキャッチコピーと、主演が俺たちの渋川清彦ということで昨年の東京国際映画祭の時から気になっていた。プロデューサーがアダム・トレル(少し前に日本映画批判して話題になった人)というイギリスの人だからこんな作品企画できたんだろう。ともすれば身内批判かつ内輪ネタみたいなことになりかねない題材を引き受けた内田英治監督もすごい。

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イギリスのウーディネ極東映画祭帰りに急遽キネカ大森の初日に来てくれた内田監督とアダム・トレルP。因みに日本からは『ヒメアノール』『モヒカン故郷に帰る』が出品されたそう。

ウルトラマンXに隊員役として出演していた細田善彦が割とメインで出演していて、知らなかったので驚いた。方や子供番組、方やダーティーな大人の映画のギャップに目眩がする。

役者さんの演技は皆真に迫ってる感じがした。なんと言っても岡野真也さんは1本の中で四方八方に演技の振れ幅がすごい。レッスンの演技で才能があることをバシッと見せてくれるのでその後の展開にも入りやすい。対比としての売れないおばさん女優を演じる内田慈さんの安定感よ。ビンタ痛そうだったな。

渋川清彦は前回主演作の『モーターズ』がヘラヘラフラフラした愛すべきダメ男な役だったのに対して、今回は良くも悪くもアクティブで感情を表に出す役で新鮮だった。

登場人物たちはすべからく映画という藁にすがりながらもほとんど溺死しかけてるような人たちで、笑える笑えないの差はあれど非常に痛々しい。僕は自分自身のクリエイティビティに自信がないというのもあって創り手や表現者の人を尊敬しているけど、この映画ではそれらを良い意味で卑近なものとして描いていて親しみが持てる。割と気高く尊いものとして、或いは常人離れした人が描かれることが多い気がするので。

死んでも掴み続けられる藁を死ぬまでに掴めると良いなあと思います。