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静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画レビュー031: 『海よりもまだ深く』 前編

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『海よりもまだ深く』


こんにちは。是枝裕和監督が宇多丸の『海街diary』評を聞いたことを知って一人なんとも恥ずかしい気持ちになっている者です。今回紹介するのは是枝監督の最新作『海よりもまだ深く』です。今更是枝監督の作品をね、ベタ褒めするのもなんか恥ずかしいんですけど言わせて下さいよ。もうね、


                                   良い…。


だけで終わらせたいぐらいの感じなんですけど。そうもいかないのでつらつら書きましょう。もう単純に全方位的に最強な映画だと思います。頭悪い言い方ですけどでも本当にそう思ったんです。

なぜか。まず第一に、その場でケタケタ笑いながら観られるいわゆる「ポップコーン映画」と、観て1週間ぐらいその映画について考えてる内にいつの間にか自分の一部になってるような「お持ち帰り映画」の両方の要素を満たしている点。特に序盤は50の売れない小説家志望のダメ男を中心とした市井の人々なオフビートな日常コメディと言えるレベルで、公開2日目の9割方埋まった劇場には絶えず笑いが起こってました。本当に楽しかった。

でも映画館を出る頃には自分の人生について考えざるを得ないところまで持ってかれちゃう訳ですよ。これまでのこと、今のこと、これからのことについて。

加えて内容として、男と女、夫と妻、親と子、大人と子ども、夢と日々の生活、現在と過去、など現代の日本のどこにでもある諸処の対立軸全てを肯定的に描いている。どこにも偏りや嫌味が感じられず、しかも少ないロケーションと登場人物で、誰が見てもわかるように2時間でやってのけているって僕は大変なことだと思うよ…。離れ業。

というわけでもうどの時代の誰にでも、映画好きでもそうでなくてもオススメできる作品だと思ってますよ。個人的に池松壮亮がばっちりおいしい役でとても嬉しかった。 あと清瀬かよ!自転車で行けるよ!

取りあえず雑感としては以上です。以下個人的なこと。ネタバレはないですけど観てから読んだ方がいいかもよ。(というか個人的なところに触れずにこの映画を語るのは無理なのでは??とも思いますが)

とりあえず阿部寛演じる主人公の良多が僕の父親に被って仕方なかったです。僕の父は昔から仕事人間で、僕が生まれてから高校入るぐらいまでは殆ど会ってなかったような気がします。しかも現在はその頃の仕事辞めて自営業やってて、年齢も良多に近くて顔も濃いというこの類似性(因みにジョージ・クルーニーに若干似てる)。

昔の父との思い出と言えば、たまに会えばキャッチボールやったり銭湯行ったり、ないわけではないんですが数は多くなかった。まあだから離婚して月一しか会えない良多と息子の関係に重なる部分があったと。あそこまで(世間一般で言う)駄目人間ではないけどね。

かなり「うわぁ…」となったのは「普段一緒にいなくて何話していいかわからないのでどうでもいいことで息子に無理矢理話しかけてコミュニケーションをとろうとするも軽くあしらわれて失敗」というくだり。今は僕と父は週数回会う程度なんですけど、これを会う度やられてる身としては客観的に見せられることで「お前は普段親父にこういうことやってんだよ」と是枝監督に頭掴まれて水に突っまれる拷問を受けているようなね。そんな感じでした。

そんな僕も甲斐性無しの息子という意味では良多と同じなわけで。もう悪いとこどりすぎて色々辛いわっていう。今すぐは無理だけど親孝行するよ。

取りあえず1回目の感想としてはこんな感じです。2回目行くので、その時はもっと俯瞰して作品を眺めることができると思います。そしたらまた更新しようと思ってます。