新作映画レビュー032: 『ディストラクション・ベイビーズ』に見た「絶対と相対」
『ディストラクション・ベイビーズ』
放談主義 ~映画と音楽のブログ~ のけんすさんとたまたま同じ回を観ていて、その後だべっていた時の内容を僕なりの言葉でまとめると、それは「『絶対』の高潔さと『相対』のみっともなさ」というところに集約されるのかもしれないと思った。何かを自分がやりたいからひたすらやってるのと周囲をちらちら見て評価を気にしながらやるのだったら前者の方がかっこいいと思うわけです。この映画ではそれが暴力という、それ自体反社会的であってはならないとされていることなわけですけど、絶対主義を貫き通せばやることは何であれそれが高潔なものに見えてくるっていうか。
暴力は恐ろしいものですし、実生活ではふるいたくないし、見たくもない。それをフィクションという形でスクリーンで見せてくれる。暴力というものを容認するようになるわけではありません。しかしそれすら高潔に見えるようになっちゃう。実生活で忌避すべきものが高潔に見えるってフィクションでしか為しえないことなんじゃないですかって思いました。
真利子監督の商業映画初挑戦作品ということで、そこはかとないインディーのざらざらした感じ(特に冒頭のショットの連なり)がこれからのキャリアへの期待を抱かせてくれます。柳楽くんも今ドラマもやってて今後露出が増えてくると思うので楽しみですね。菅田くんも女性大勢ファンもついてる中でここまでダーティーな役を思いっきりやれるという…本当に今回の役とは真逆の、役者としての絶対性みたいなものを感じます。小松菜奈や村上虹郎、池松壮亮、(あと僕正直どこに出てるかわかんなかったんですけど)吉村界人などこれからこの作品の面々が日本映画の柱になってくかもしれないですね。
PS)話を聞く限り、2回ご覧になった上で演出や脚本など鋭く分析されてるので、上リンクの放談主義の本作の記事は是非読んでみて欲しいです。
追記:上リンクの放談主義内で本作の記事が1回目と2回目の感想それぞれアップされました。観た方必読レベル。もっと演出やセリフから映画を読み取れるようになりた〜い。