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静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画レビュー033: 『若葉のころ』

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若葉のころ』
監督:ジョウ・グータイ
出演:ルゥルゥ・チェン、リッチー・レン、シー・チー・ティエン、アリッサ・チア


全く観る予定がなかったのだけどお誘いを受けたので行ってきた。

あらすじ。女子高生のバイは目の前で交通事故に合う母親を目撃、母は意識不明になってしまう。母のメールボックスには初恋の相手への思い出を綴った未送信メールが残されていた。そんなバイにも恋の季節が訪れる。

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主演のルゥルゥさん、とても可愛らしい人だった。能年玲奈と僕のバイト先の中国人の女の人(29)を足しで2で割って7:3で調整したような顔をしている。この人を知れたのが間違いなく一番の収穫。

先に褒め。画面がとても綺麗だった。スローモーションを使ったシーンが多々あり、MVで実績を残してきた監督と聞いて納得した。(中島哲也を思い出す。)

ただ、やりたかったからぶっ込んだのかわからないけど、帰ってくるなりリュックを背負ったままホースで水浴びを始めるのは「携帯とか大丈夫?」とかどうでもいいとこが不安になる。もちろんそこもスローモーションで、ポカリスエットのCMにありそうな綺麗な画面になっていたけどストーリーテリングに寄与していたのかは不明。

ついでに言うと主人公の母の初恋の相手の高校時代の回想パートで、先生に押収されたと思われるあるものを夕暮れの校舎の屋上から仲間と投げるシーンがある。中には達成感のあまり上裸になってるやつもいたし、監督としてはエモーショナルなシーンのつもりなのだろうけど、はっきり言って意味がわからなかった。そこもスローモーションで、確かに画としては綺麗だけどやってることが意味不明なので何も言えない。後の出来事との繋がりもあるっちゃあるけど無理やり感が否めない。その「後の出来事」というのは過去の二人の初恋が終わりを迎える決定的な出来事なのだけど、その時の彼の行動も正直理解し難い。

現代パートでは主人公と主人公に好意を寄せる男の子、そしてその男の子に気がある主人公の親友という典型的すぎる三角関係が描かれる。親友同士が駅のホームでキャッキャする最初のくだりのわちゃわちゃ感からもう「これは俺の映画ではないのでは」と内心思ってたけど「いやでも去年のベストはJK4人組がわちゃわちゃする映画だったし…」と自分を鼓舞しながら観ていた。

この作品の最大の不満はその現代編の男の子の扱い。彼は彼を振り向かせたい主人公の親友からの肉体的なアプローチ(最早逆セクハラ)を「そんなものを求めているのではない」と一蹴する。しかし「男なんて皆性欲に支配された猿よ」とその親友に吹き込まれ済みの純粋な主人公は勿論タイミング良くその場を目撃してしまい、男の子に失望。あえなく順調に行きそうだった初恋は破綻してしまう。男の子は主人公の怒りによるエグい復讐受けたあともひた向きに意思疎通を図ろうとするも、「お前は女のここ(上半身)とここ(下半身)にしか興味ねえんだろ」と散々罵倒されて三角関係の描写は終わり。「それで終わり!?」と声をあげそうになるレベルでそれで終わり。まあ主人公もお母さんが大変でさ、なんか別居中?のお父さんが絡んできたり大変なんだろうけどそれはないよって言いたくなった。

と、総じて現代パートが過去の回想パートの引き立て役にしかなってなくて辛い。お客さんは40代以上の人が多かった気がした。彼らにとってはそれでいいのかもしれないけど、17歳の方に近い僕からすると不快感が先行してしまった。どっちのパートにも居場所がない。

そんな僕が強いて言うならこの映画で一番好きなのは、主人公の母の初恋の男の現代パート。高校生の初恋で見せる実直さとはかけ離れたダメンズぶりが痛々しくて、他のパートになるだに「早くあっち戻んねーかな…」と思ってしまった。まあこのパートも類型的でさして良くはないけど…比較的ね。

こんだけアレ評価なのは僕が台湾映画の演技を汲み取れてないからだと思います。多分役者の演技は良かったんだと思います。ただ同じ脚本で日本人の上手い人たちがやってもそんなに感想は変わらない気もします。あとはもう世代の問題かと。

あ、でもスマホやパソコンによる交信手段が発達した現代では起こりえない、アナログさによるすれ違いが描かれる過去編のクライマックスはエモいっす。やっぱタイムラグが発生するから告白の時手紙とかなんか渡すとかダメだよ。伝わって返事が来るまでに何があるわかんないからね。直接自分の声で告白するのが一番だと思うよ。

あと結局2人は結ばれないと観客はわかっているんだけど、その決定的な理由が若さ故の短慮だったりもするわけで。いやそこはちゃんとアレしろよ!!!って言いたくなるんだけど、そういうのは後になったから言えることなんですよね。

そういう後から見た時と反省にまみれた過去を積み重ねた結果、それを活かして今の恋愛をやり切って、然るべき相手に着地するのが結婚だったりするのかもしんないですね。