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静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画レビュー043: 『葛城事件』

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『葛城事件』

脚本・原案・監督:赤堀雅秋

出演:三浦友和南果歩新井浩文若葉竜也田中麗奈

 

 実は『シン・ゴジラ』の前に観ていたんですがレビューが間に合わず。遅くなってしまいました。もうほぼほぼ公開も終わっているのでネタバレします。

 

池袋シネマ・ロサで滑り込み。泣く泣くスルー予定だったけど方々からの高評価に堪えきれなかった。

 

冒頭の三浦友和からほとほと嫌になる。自分のわがままをナショナリズムに還元する時点でもうちゃんと頭がおかしい人に見える。未だに日本が世界をリードするとか言っちゃってるのも最高。とにかく話が通じない、関わりたくない人感が強烈に刷り込まれる。僕は年齢層が高めの和食屋でバイトしているけど、中華料理屋のシーンは(あそこまでではないものの)面倒くさい客のこと思い出して嫌さマシマシ。

 

そういうのに積極的に関わる田中麗奈も同等にお狂いになられているように感じた。「あの人には私みたいな人がいないとダメなんです」って、こいつも自分の行いを正当化しながら自己を保つために外部のものをダシにしているという。美辞麗句でコーティングしてるだけこいつが一番タチ悪いかもしれない。死刑制度の是非についていまいち割り切った答えが出せない僕としては、割と納得できるようなことを言ってるだけに余計腹立たしい。

 

話が逸れるんですけど、この時期になると9月から放送される仮面ライダーの新作のデザインがどっかから流れてくるんですよ。昨今の仮面ライダーは毎度尖ったデザインをしてるので、必ず賛否両論ある。もう10年以上繰り返されてることなのに今更「こんなの仮面ライダーじゃない」なんて時代遅れもいいとこだろと思うのは置いといて。で、否定派の中に「子どもはこんなのじゃ喜ばない」的な物言いをする人がいて、僕はこれが大嫌いなんですよ。自分の嫌いを伝えるために子どもを盾にするのが本当に不快。上の2人にはこれと同じことを感じました。自分の意見を表明するのに人をダシにするな。

 

新井浩文の演じる兄はそういうのができなかったのかもしれない。一見一番まともで真面目な人がやり場のない思いを抱えながら死んでいく。一家の中で周りの顔色を伺って生きてきたから人に迷惑かけたり、嫌な思いをさせるのが苦手だったのかもね。ポイ捨てした吸い殻を拾いに戻るシーンがマジで辛い。

 

母と次男が出てった先のアパートで最後の晩餐の話をするシーンも僕はすっごく嫌だった。次男は最後までうな重と言い続けるのだけど、母は「らしくない」と一笑するんだっけ。ちょっとうろ覚えなんですが。取り敢えずその「らしくない」って言うのをやめろと。特にこの家族においては、神の視点で眺めている僕ですら「お前に子どもの何がわかるんだ?らしさを押し付けて自分のはめたい型にはめるなな」とイラッとしてしまいました。で、それをフォローする長男。もうこのやりとりだけで母親も嫌い。

 

結局溜まった膿がどう噴出するかってだけなんだよ。家父長制の権化みたいな人が膿で爆裂しないためには多少無理な形でも一国一城の主としてアイデンティティを保つしかなかった(それだけに自分の家を破壊するシーンは少し切ない)。自分の理想を子どもに投影して、できなければ視界から排除するしかなかった。排除された側が外部に向けて発散してしまったってだけ。若葉竜也の言い分に賛同はしないが、それがたまたま殺人だったという事故ってだけの話としか思えない。

 

散々ささくれ立ったことを言ってきたが、それぐらい(方向はともかく)心動かされた。観てよかったと思ってる。

 

個人的に赤堀雅秋のことをダーク是枝裕和と呼びたい。