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静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画066: 『ラ・ラ・ランド』

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 監督:デイミアン・チャゼル

出演:エマ・ストーンライアン・ゴズリング、キャリー・ヘルナンデス、ジェシカ・ローゼンバーグ、ソノヤ・ミズノ、ローズマリー・デウィット、J・K・シモンズ、フィン・ウィットロック、ジョシュ・ペンス、ジョン・レジェンド

 

※若干内容に触れます

 

大阪は万博記念公園の側にある109シネマズ大阪エキスポシティでIMAXwithレーザーというIMAXのすごいやつで観た。幸運にも元々計画していた大阪旅行の初日が公開日だったので。

 

期待が高かったのは否めない。やっぱりTOHOシネマズ新宿の営業初日に観た『セッション』には、始終半開きの口から涎がたれかける程度に度肝を抜かれたから。ただミュージカル映画は本当にほぼ観たことがなかったし、フォーマットにあんまり合わなそうというぼんやりした不安もあった。

 

とりあえずアバンタイトルで懸念が吹き飛ばされた。無人島キネマ(イントロダクション - 無人島キネマ)のウシダトモユキさんも言っていたけど、音楽に乗せて楽しそうに歌ったり踊ったりする映像を見ると泣いてしまうタチなのかもしれない。『ジャージー・ボーイズ』のエンディングでもそうだった。開始1分で号泣したし、これでタイトルがロサンゼルスの空に出て終わりでも良いぐらいだった。「お、オレは凄いものを今見ているッ……」という実感が心の底から湧いてきて、そんな光景が司会を覆い尽くしている。純然たる多幸感だった。映画館で映画観るのって最高だなと思えた。

 

予告では「夢を追う二人のサクセスラブストーリー!二人で頑張ってハッピー!」みたいな感じだと思っていた。アバンの勢いでガーッとやってワーッと終わればいいなとナメた鑑賞態度でいたけど、今振り返れば紛れもなく『セッション』のデミアン・チャゼルの映画だったんだと居住まいを正される。

 

なぜかと言うと「夢を追うことで失うもの」から目を逸らさない姿勢が共通していると感じたから。『セッション』は失いまくって突き抜けた結果おかしなことになっていたところが魅力的だった。そういう因果地平を振り切った二人の神々の戦いを眺めているような気分になった。

 

対する今回の二人は間違いなく自分を取り巻く現実と向き合い通していた。結果別々の道を行った二人が再会した時「もしもあの時こうしていなかったら」という儚い夢を見る。間違いなく夢を追うことで二人一緒の時間は失われてしまった。でも、特にゴズリン力が大爆発していた二人の別れ際の表情で全て報われる感じがした。夢を叶えた人(或いは叶えられなかった人、持たない人)が夢の代わりに見る過去の美しい記憶になっていくのかもしれない。

 

ただ自分の人生を参照して語ったり、夢に対する持論を展開したりしたくなるような熱が上がる作品ではなかったことは否めない。とても素晴らしい作品なのは間違いないけど俺のではないかな、という。この監督、次作は本作のライアン・ゴズリングと宇宙飛行士の話をやるらしい。どんなことになるのか。マストで追いかけたい人であるのは間違いない。