静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画068: 『劇場版ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!』

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監督:田口清隆

出演:石黒英雄松浦雅高橋直人、ねりお弘晃、青柳尊哉、柳沢慎吾高橋健介椿鬼奴森次晃嗣

声の出演:山寺宏一、根岸拓哉、宇治清高、宮野真守中村悠一

 

 

哭声もお嬢さんもアシュラもバンコクナイツもナイスガイズも3月のライオントリプルXも観れてない。

 

だけど、僕には、「周りがどうでも自分は観なければならない」という面倒な義務感に駆られるジャンル映画がある。

 

それは、特撮映画ー。

 

何故こんな言い訳のようなことを述べるかというと、今回の068〜070まで特撮映画のエントリーが続くからです。特撮映画に携わってる皆さん本当にありがとうございます。

 

 まずテレビ版のおさらい。

ウルトラマンオーブは2016年の夏から年末にかけて全25話のエピソードが放送されたウルトラマンシリーズの最新作です。「二人の先輩ウルトラマンの力をお借りし、その戦士たちの能力や見た目がハイブリッドした姿になる」という設定が最大の特徴です。オーブ誕生直後の物語である「THE ORIGIN SAGA」がAmazonプライムビデオで世界に向けて配信されたのも話題になりました。

 

主人公(ウルトラマンオーブ)のクレナイ・ガイが風来坊で、「たまたま着いた町で怪奇現象追跡サイト(通称SSP)を運営する若者たちと出会い行動を共にする」というのも、「主人公は地球防衛隊(或いはそれに関連する機関)の所属」という従来シリーズのお約束を破る新鮮な設定でした。

 

そしてこの作品で最も強烈なキャラクターと言えばガイの宿敵、ジャグラス・ジャグラー。どこからともなく表れネチネチした喋り方でガイに絡み、邪魔をしてくる、キモかっこいいバイキンマンみたいな奴です。

 

ちなみに彼はガイの同胞だったのですが、ウルトラマンオーブに選ばれたガイのサポート役に回ることになり、選ばれなかったことに忸怩たる思いを抱え、ある事をきっかけにガイとは別の道を歩むことになるというのが、前述のオリジンサーガで描かれています。

 

 ここから映画の話。

今作はテレビ版最終回で再び旅に出たクレナイ・ガイとSSPの面々が(少し早めの)再会を果たす後日談です。軽めのノリは本当にテレビ版のそのままなので安心して観られました。各キャラとも早めとは言えカムバックなんだから少しは登場の演出にタメがあってもいいようなものですが、あまりにあっさり出てくるので「あ、もう普段の感じで見ていいんだな」とちょっと安心なような肩透かしなような笑。割とテレビ版中盤と終盤はシリアスめなところも多かったのでこれぐらいでよかったかもしれません。

 

とは言え劇場で見るとちょっと気になってしまうのが「スベり問題」。テレビの前で一人で見ている分には「はいはい」で済むのだけど、劇場の多数でやられると「ぬわ~スベってる~きっつ~」と謎の気まずさを抱くのは僕だけでしょうか。特に今回はSSPの3人と主人公に加えて山寺宏一が声を当てた敵キャラとかジャグラーとかゼロとかXとか笑わせにくる手数が多い割に全然打率が低いので、正直ここは素直に辛かったです。あと敵役を椿鬼奴が演じてるんですけど、芸人枠の割に真面目に演技してて、でもあんまり上手くはないので、笑っていいのか何なのか困惑した。ゼアスのとんねるずぐらいふざけてればいいのに。

 

反面、劇場で多数の人と一緒に観ることを意識した演出があったのはよかった。具体的に言うと、SSPライブ配信に使う手持ちカメラを自分たちと背景で戦ってるオーブに向けて、見ている人(=映画館にいる観客)に応援を請うシーン。あの、ヒーローショーでお姉さんが子供たちにやるあれね。子供むけの作品で手持ちカメラを使う上でこれ以上ない演出じゃん感心しました。まあ僕の回は子どもほぼいなかったのでレスポンスがなかったのは寂しかったですけど。

 

内容は去年のウルトラマンXから続投の田口清隆監督なので流石の安定感。

まあ敢えて言うならこの磐石感は逆に「どうせいいんだろうな」と微妙にワクワク感は損なわれてしまう感じ?いや、本当贅沢な悩みというか、悩みですらないんだけど。てか僕個人としては映画館に行くのはギャンブル的な楽しさもあるので、そこがちょっとなという。だからそういう意味でも当たり外れの激しい仮面ライダーの方が好きっていうのがあります。我ながら東映に毒されすぎていると思う。

 

qml.hatenablog.com

 

あともう一つ結構大きい不満点を挙げるなら、それはシンプルに「テレビ版の特撮のすごさを超えられていない」ところ。特に最終回の特撮の出来はテレビでできる限界を突破しているのではと本当に感動しまくってしまったので、せめてそこに比肩するぐらいの驚きはあって欲しかった。↑の田口監督の前作で言う長回しとか、そういう目立った見せ場もなかったので物足りさなさはちょっとある。とは言えXとオーブの同時着地は超シビれた!あそこだけでもすごく良かった!