静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画089: 『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』

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監督:ジョン・リー・ハンコック

出演:マイケル・キートンローラ・ダーン、ニック・オファーマン、ジョン・キャロル・リンチ、リンダ・カーデリニ、パトリック・ウィルソン

 

 

福岡旅行に行った際にKBCシネマで観てきた。平家の一戸建ての映画館でコンパクトな映画館。自由席で会計で渡されるレシートが入場券兼用なのが新鮮だった。お盆前の平日の夕方に行ったけど意外と埋まってて驚いた。

 

この映画を観たあとマクドナルドを食べなくなるかと問われると残念ながらYESです。残念ながらと言うのも、向こう3年ぐらいはマックを食べるたびにこの映画の主人公レイ・クロックさんのニヤけ面やしたり顔を思い出すんだろうなと思うからです。

 

スティーブ・ジョブズ(2016)』に狂気の独裁者ぶりを発揮するジョブズに対して相方で技術者のウォズが「お前が何を作ったんだ」と激昂するシーンがありましたけど、この映画はマクドナルド1号店のオーナーの兄弟がレイに対して同じような忸怩たる思いを抱える様を描いていて胸が痛い。しかもレイはジョブズと違って完全に後から乗っかってるから尚更。

 

ただレイ・クロックはいち早くマクドナルドのシステムの将来性を見抜いて投資、適応しそうな若者を他業種からリクルートして事業拡大していく。その手腕に感心してしまう。シェイカーは大して売れてるようにも見えなかったけど、その過程で運良く得たチャンスを逃さず自分のステップアップに繋げたアグレッシブさに逞しさを覚える。土地転がしの彼との出会いが事実だとしたらとんでもない豪運の持ち主だけに羨ましさを覚える。

 

このアンビバレントさが魅力的な作品だったと思う。こういう男が「拡大させた」仕組みが資本主義の肥大化の片棒を担いでいたのだなあとなんともいえない気持ちになる。

 

「英雄か。怪物か。」というのはこの映画のコピーだけど考えるのは野暮だと思う。現実は二元論じゃなくグラデーションだから。