静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画092: 『ベイビー・ドライバー』

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監督:エドガー・ライト

出演:アンセル・エルゴートリリー・ジェームズケビン・スペイシージェイミー・フォックスジョン・ハムエイザ・ゴンザレスジョン・バーンサルウォルター・ヒル

 

 

※多少内容に触れてます※

 

 

冒頭6分のカーチェイスからのコーヒー買い出し長回し、コインランドリー、銃撃戦、パルクール、クライマックスなどシーン単位で切り取れば物凄く楽しんだ。極上爆音あっての満足度だったと思う。ありがとう立川シネマシティ。

 

ただ映画館を出て「んあ〜面白かった〜」となったかと言えば残念ながら否でした。多分脚本の好みなんだと思う。

 

ベイビーの仕事は強盗たちを車で逃すことで、自分の手を直接汚すことを良しとしないことは描かれていたので、彼女を守るためにその一線を越える際の葛藤も同時に描いてほしかったというのがある。明確な殺意をもって人殺しをやるのに、唐突にピョイッと線を超えたように見えてしまって、彼の覚悟とかを感じる以前に不意を突かれて一気に話に置いてかれた感じがした。『シン・ゴジラ』のとき「葛藤・ドラマがない」みたいな意見を見てなるほどなあなんて思ったけどこのシーンには同じようなことを思ってしまった。同時に『キングスマン』の時に感じた置いてかれ感なんかも思い出した。

 

というかあんなに楽しいカーチェイスをやってくれてるんだからネチョネチョした内部分裂じゃなくて、明確な敵を用意してそいつらを出し抜いて彼女も守ってスカッと終わるじゃダメだったのかなあなんて思ってしまう。ベイビーに人殺しまでさせる必要があったのかなあ。それこそチームなんだから役割分担させればよかったんじゃないのか。ジェイミー・フォックスのやだみ演技はすごいよかったしカップルの男の方もめっちゃかっこよかったしなあ。あのチームで普通に最後までやってもベイビーの映画にはなったろうに。

 

エドガー・ライトフィルモグラフィーには疎いのでわかんないけど、多分犯罪や殺人に加担する罪と罰を描きたかったんだろうとも思う。結構真面目な人なんじゃないかな。だからこういう形になったのだろう。その真面目さと気持ちいいとこの食い合わせがなー。うーん。