静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画098: 『パターソン』

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監督:ジム・ジャームッシュ

出演:アダム・ドライバー、ゴルシフテ・ファラハニ、永瀬正敏、ネリー(犬) 他

 

 

なんせ最近このチラシの裏の更新が停滞気味で、もうこの映画を観たのが1ヶ月前という体たらくです。朧げな記憶を辿ってこの映画の内容を反芻してみました。

 

ニュージャージー州パターソン市に暮らすパターソン氏はバスの運転を生業とする詩人。愛する妻と愛犬と暮らし、平凡な日常の機微を詩という形にしてノートに書き留める日々。彼の一週間を描く。

 

ああ、思い出してたらパターソン氏みたいな暮らしをしたくなってきた。なんなら悲しくなってきた。

 

なぜかと言うと、今年から社会人になったからです。慣れない仕事に振り回され、一日あっという間です。与えられたタスクをこなすので精一杯で、その中に楽しみや喜びを見出す余裕もないような状態が続いております。帰ったら飯食って飲んでゲームやって寝ちゃうし。

 

詩というライフワークを持つところも憧れ。日々ほぼ決まり切ったルーティンに沿って活動してるにも関わらず、その中にある揺らぎや気づきに目をやり耳を傾ける。インプットした半径1メートルを頭の中で噛み締め味わい、詩の形にしてアウトプットする。ある種のルールに従って日常の一部を文字列に変換することで見えてくる美しさ。それで繋がる人と人。素敵ですなあ。まあ僕にとってはそれが映画だったりするんですけど。

 

膝を打ったのは嫁さんに「双子とかできたら素敵やん?」って言われたら街中に双子がいっぱいいるという演出。潜在意識がカットの中に現れるという。映画で人物が見てる世界をこういう風に表現できるんだなあと。

 

特に非の打ち所がない、しみじみ良い映画でした。