静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画104: 『ブレードランナー2049』

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監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

出演:ライアン・ゴズリングハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、シルビア・フークスロビン・ライト、マッケンジー・デイビス、デイブ・バウティスタ、ジャレッド・レト

 

※内容、展開に触れております※

 

恥ずかしながら前作『ブレードランナー』を未見だったので、丸の内ピカデリー爆音映画祭で観てきた(ちなみにその前家で観ようと試みたら冒頭の机を挟んで向かい合って話すシーンで寝た)。

 

話としては見たことあるような感じの集積で別に面白くはなかった(後年に影響を与えた往年の名作始めて観たときあるある)。ただ美術、衣装、照明などの視覚に訴えてくる力が抜群で、それだけで最後まで観れてしまった。特に暗い2019年のロサンゼルスをありえそうで退廃的、でもかっこよくて魅力的に描いた美術はそれだけで劇場に足を運んだ価値があったと思える。ジャンルとしてSFがそれほど好きな訳じゃないんだけど、やはりより世界に没入できる映画館で観ると楽しい。

 

2049の話。主人公のKはレプリカントであり、刷り込まれた他者の記憶をもってる。レプリカントと人間の間の子の捜査を通してその記憶の場所に辿り着くと、自分が探している選ばれし子なのではないかと思い始める。しかし実際Kはダミーで、本物は別にいた。ここで終わってもいい話だけどKはデッカードを守り、実子の元に送り届け物語が終わる。

 

ドゥニ・ヴィルヌーヴの映画は『メッセージ』しか観たことないんだけど、メッセージの監督っぽい話だなあと感じた。共通してるのは両作とも「記憶」を通して自らのやるべきことややりたいことに辿り着く話ってところなんだろう。そのプロセスが物語と人物の行動で丁寧に紡がれていくイメージ。やっぱり極めて優等生的な映画作りをする人だと思う。悪く言えば角が全くないというか。この映画も含め僕はそこに物足りなさや退屈さを覚えるけどそれは好みの問題だと思う。その丸さは今回ビジュアルにも現れてるかなあ。尺の長さも相まってとにかく興味を引っ張ってくれる燃料不足感が否めない。

 

ビジュアルの話については現実ので目にしてるそれの問題もあると思う。監督も言ってたらしいけどappleの製品が世に与えたインパクトはでかくて、(おそらく多分)『ブレードランナー』以前のフィクションが思い描いていた単色でフラットなデザインの未来が一部叶ってしまったんだと思う。それに慣れた僕のような観客にはこの映画の未来観は少し弱いというか。まあ大前提として直前に観た前作のビジュアルインパクトがどうしてもね。うん。

 

総じて続編として正当性は満たしつつもうちょっと尖った一発は欲しかったなあという印象です。