静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画106: 『スウィート17モンスター』

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監督:ケリー・フレモン・フレイグ

出演:ヘイリー・スタインフェルド、ウッディ・ハレルソン、キーラ・セジウィック、ブレイク・ジェナー、ヘイリー・ルー・リチャードソン 他

 

あらすじ。主人公のネイディーンは17歳のJKなのにセックスはおろかキスも未経験。友達は親友のクリスタのみ。兄貴のダリアンはイケイケの人気者でルサンチマン抱えまくり。あろうことかクリスタとダリアンが一夜の関係をきっかけに交際開始。彼女にとっては最悪の結託。シングルの母親はメンヘラ気味、教師は無気力。どうするネイディーン!

 

キネカ大森で名画座二本立てと称して『アメリカン・スリープオーバー』と併映されてたので観てきた。『イット・フォローズ』が好きなので当初はそっちが目当てだった。

 

しかし今作は思わぬ拾い物どころか今年の観た中でも有数にパーソナルなとこに刺さる話だったことは最初に言っときたい。いや、ていうか思春期にある程度こじらせた人なら誰にでも思い当たる内容だと思う。そういう意味ではむしろキャッチーな映画ですらある。

 

世の中バカばっか。人が知らない、気付かないことを把握してるが故の不幸を俺は知っているーッ。

 

という思春期こじらせ病の後遺症。いや、今も自分の身体から張り付いて離れない影。電車に乗ってる時や街中にいる時、テレビの街頭インタビューを見て未だに思う。ノーテンキでいいですね、自分勝手に振舞ってご立派ですねなんて。

 

2016年のマイベストシネマ『何者』は、有村架純二階堂ふみが素晴らしい演技でもって、紛れもなくこの思春期の歪さが生んだマインドをピンポイントで串刺しにしてきた。死ぬ思いだった。厳しい追及だったけど彼女たちも銘々抱える恐れや覚悟や事情がある。

 

この『スウィート17モンスター』も印象としては近いものがある。自分だけが不幸と思い暴走する主人公が、最後には周りの人の弱さや悩みに目を向けられるようになる。違うのは過程に笑いがふんだんに盛り込まれて最後にはハッピーエンドを迎えるところかな。エンタメ色が強くて単純に面白かった。むしろ17歳でこの境地に達したお前はすごい。お前は眩しい。幸せになれ。お前はなれる。

 

ヘイリー・スタインフェルド演じるネイディーンは今年のベストヒロインに決定!(今から観る『勝手にふるえてろ』の松岡茉優に塗り替えられなければ笑)