静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画123: 『チワワちゃん』

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監督:二宮健

出演:門脇麦成田凌、筧一郎、玉城ティナ、吉田志織、村上虹郎、仲万美、古川琴音、篠原悠伸、上遠野太洸、松本妃代、松本穂香栗山千明浅野忠信

 

 

青春の擬人化。チワワちゃんという人間を一言で表すならこれかなと。彼女は若さと美貌を武器にして後先考えず気持ちいい方に走り続けていたからそう思った。理由はもう一つある。それは彼女の物語上の役割の中に見えた。

 

主人公のミキ(門脇麦)はチワワちゃんと同じグループにいたのに、彼女をあまりよく知らなかった。いつの間にか現れて、グループの中心になってて、インスタのフォロワーも抜かされて、ちょっと嫉妬していたことはよく覚えてるみたいだったけど。

 

だから彼女はチワワちゃんがバラバラ死体になったことをきっかけに、チワワちゃんのことを知ろうとした。もうこの世にいないのに。

 

しかし僕にはそれが建前に見えた。楽しかったあの頃に戻るための建前に見えた。生前の彼女を知るために、かつてつるんでいた仲間を訪ね歩くことで、かつて確かにあった青春の残滓を掬いとろうとしているように見えた。

 

彼女はこの映画において主人公の青春そのものであり、そしてこの映画は彼女の名を冠している。

 

エンドロールを眺めている間中、切なくて仕方なかった。観ている時は、時に醜くていびつに見えた彼らのあの頃の一瞬一瞬がかけがえのないものに思えてきて。こんなパリピなルックの映画からこんな後味がするのかという嬉しい驚き。

 

そして観て5日程経った今、この映画そのものが自分の中でかけがえのないものになりつつある。もう一度観たら理由がわかるかな。

 

ただ一個理由として確かなのは、二宮健監督(27)がスクリーンを引きちぎる勢いで自分の爪痕を残そうとしてたことがビンビンに伝わってきたこと。この人の映画を初めて観たけど、タイトルロールの前に監督の名前出るとこでめちゃニヤついた。

 

ともすれば嫌悪感も残しかねない筆致の強さ・荒さだったけど、この映画では眩すぎる一瞬の火花としての青春を描くのにすごくマッチしてたと思う。この人でなきゃこんなに残らなかった。

 

早くも今年ベスト級出ました。出ました。