静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画レビュー004:『ブリッジ・オブ・スパイ』 ※ネタバレ無し

『ブリッジ・オブ・スパイ』

出演:トム・ハンクス、マーク・ライランス、スコット・シェパード他
 
 
スティーブン・スピルバーグ。どう書き出していいのかわからないぐらいのビッグネーム。いや、まあ、白状するならスピルバーグの作品をちゃんと観るのは初めてでした。「そんな奴いるの?」と思うじゃん?はい。います。小学生のとき『ジュラシック・パーク』ちょっと観てたぐらいで。まあいい機会というのもあって、ね。行ってきましたよ。
 
最早言い訳はするまい。全人類的に見ても貴重な、成人してから初めてスピルバーグの作品を鑑賞した人間の『ブリッジ・オブ・スパイ』の感想を書いてみるしかない。
 
一言で言うとこの手の作品に苦手意識はありました。「冷戦」「スパイ」「ベルリンの壁」「弁護士」「交渉」……難しそうな単語のが散りばめられたあらすじに正直観る前のテンションは低かったです。自慢じゃないですけど、結構常識レベルの世界史知識が欠如してたりするので、特にこういう歴史的実話ベースの話はスジを追うことに終始してしまってあんまり楽しめなかったりするので。
 
「いやーしかも今更スピルバーグかあ」なんつって。もう頭ですごい人だってのはわかってるし、まあ観ればそこそこ面白いんでしょ?ぐらいのかなりナメたスタンスだったことは否めないです。
 
しかしいざ観てみると、まず題材から予想される内容に対して「なんてわかりやすく面白いんだ」とエンターテイメント性の高さに感心しました。伊達に世界で一番有名な映画監督やってないなと。
 
しっかり面白い、けど出てくる歴史的事実に関して勉強したくなる(観た帰り道東西ドイツの歴史についてスマホで調べました)。派手な場面はほぼない、けど印象的なシーンはある。いい話、けどそこまで説教臭くない。なんていうのでしょう、「これが王者の手つきか!」と唸ったとでも言えば良いのでしょうか。
 
僕みたいにボケーッと観て「ああ、いい話だったなあ。ちょっと東西ドイツについて調べてみるかなあ。俺もドノバンみたいに自分に一本芯通して頑張るぞ。」なんて頭のゆるい楽しみ方もよし、憲法や国家、歴史や人間について考えるもよし、色々な立場で色々な楽しみ方ができるのが流石世界で流石スピルバーグって感じがしますね。いやー、もっと理知的な愉しみ方ができるようになったらまた観たいっす。