新作映画094: 『ダンケルク』
監督:クリストファー・ノーラン
出演:フィオン・ホワイトヘッド、トム・グリン=カーニー、ジャック・ロウデン、ハリー・スタイルズ、アナイリン・バーナード、ジェームズ・ダーシー、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィ、マーク・ライランス、トム・ハーディ、マイケル・ケイン
※内容に触れてます※
クリストファー・ノーランの扱いは僕の中で既に「(生きる)巨匠」という風になっている。つまり新作が公開されれば大体世界的に「良いもの」という評価が下され、世間一般(映画界)における「良いもの」がどういうものかを勉強しにいくような感覚。個人的に好きなわけじゃないけどまあいっとくか、というテンションで劇場に行く。
冒頭、とってもワクワクした。人気のない市街地を進む主人公たちに突如浴びせられる銃弾、瞬く間に戦死する味方兵士たち。走って砂浜へ視界が開ける。用足しもままならないまま空から爆撃が来る。砂浜に伏せた主人公を手前に、砂浜の奥から爆撃、爆撃、爆撃、爆撃、爆撃(砂ドシャァァァァ)。こりゃすげえ。これはすごいものが観られると心が踊った。今回はクリストファー・ホームランなんじゃないの。
ただこのテンションがキープされたかと言えばノー(ラン)。正確に言えばジャムたっぷり塗ったパン齧るあたりまでは保たれてた。
なんだろう、結果的に求めていたのは物語だったのかもしれない。今回の主人公はマクロな戦争の中でミクロなワンシチュエーションを繰り返す、為す術ない一個人でしかない。不意打ちされたり、上空から爆撃されたり、魚雷で船撃たれたり、狙撃(?)されたり。だからとにかく助けが来るまで逃げまくる。そこに魅力が感じられなかったに尽きる。かと言ってトム・ハーディやマーク・ライランスのパートが良かったのかと問われると…うーん。
逐一サスペンスだし劇伴も大いにそれを盛り上げていて、そこが売りな映画なのはわかる。だから単に好みじゃなかったってだけ。『インターステラー』の時にも覚えた感覚。僕には未だノーヒットノーラン。
(ホームランとかノーランのフレーズは無人島キネマさんのウシダさんから拝借しましたよ。僕が考えたんじゃないよ。ぜひ聴いてみてね。)