静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画121: 『15時17分、パリ行き』を直近の2作を踏まえて。

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15時17分、パリ行き

監督:クリント・イーストウッド

 

ガキ使が好きな人はタイトルを聞いて和田アキ子の「15歳、公園」を思い出したのではないだろうか(?)

 

自分は観た時ホモソーシャル(男同士のワチャワチャ)と各地の美人を楽しめる一挙両得な映画だなあ、という以上の感想が特に浮かばなかった。俺がイタリアに行った時はあんなエロエロで愛想の良いホテルのフロントはいなかったしお楽しみナイトみたいのもなかったよ。

 

これで終わりでもいいんだけど、問題はこれがクリント・イーストウッドというすごい人が撮った映画ということだ。

 

3人の主人公の内2人が祖国アメリカのために磨いてきた身体能力や格闘技術がフランスの名も知らぬ人たちを守るためにたまたま役立ったという奇跡を、物足りなさを覚えかねないレベルで至極フラットに描いたことは、イーストウッドの直近の2作を踏まえると面白い。

 

‘15年の『アメリカン・スナイパー』はイラク戦争愛国心から敵兵を殺しまくってPTSDになった男の話だった。昨年の『ハドソン川の奇跡』はプロフェッショナルが事故から市民の命を守ったが、その判断は正しかったのかどうか検証する映画だった。設定だけ見たらこれらのハイブリッドみたいだ。全部実話なのに。

 

『アメリカン〜』は原作である手記からの設定を変更したり、演出もかなりフィクション寄りだった。敵国の子供を射殺したり、実際に存在しなかったライバルのスナイパーを登場させたり、映画用に手が加えられていた。ここは事実に基づいてるかどうか知らないけど、PTSDの影響から自分の子供に銃を向けるシーンなんてのもあって、イーストウッドは少なくともイラクへの派兵に懐疑的で、その傷を負ったクリス・カイルの悲劇性を強調したいように見えた。

 

ハドソン川〜』はパリ行きに近いテイストの作風で、実際の事件をありのままに近い感じにやっている風だった。面白いのはその判断の是非を問う調査委員会のやり取りに重点を置いているとこで、単なる英雄譚にはしないという姿勢。単なる賛辞にしたければそれまでの彼の一生でも描くことができたはず。

 

じゃあ今回のパリ行きはどうだったかと言うと、表面上の淡白な作風でもってあえて一定の着地に誘導せずこちらに考える余白を与える感じは『ハドソン川〜』のそれを引き継ぎつつ、裏には『アメリカン〜』で描き込んだ戦争や愛国心への皮肉の血が流れているように感じた。「本当は故郷のために敵国の兵士を殺すために培った力が、旅行で訪れた他国の人間を守るためにたまたま発揮された」という事実をわざわざ映画化したのには、そういう意図があるように思える。

 

まあ観てる時は1ナノも思わなかったけど、改めて考えれば味わい深い映画だなあと。勝手にイーストウッド10年代アメリカ3部作って呼ぼうかな(ネーミングセンス)。次は『ジャージー・ボーイズ』みたいのでも全然ウェルカムっすね。

新作映画120: 『ブラックパンサー』

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監督:ライアン・クーグラー

出演:チャドウィック・ボーズマンマイケル・B・ジョーダンルピタ・ニョンゴダナイ・グリラマーティン・フリーマンダニエル・カルーヤレティーシャ・ライト、ウィンストン・デューク、アンジェラ・バセットフォレスト・ウィテカーアンディ・サーキス、ジョン・カニスターリング・K・ブラウン 他

 

※おおすじネタバレしてます※

 

ご無沙汰でした。2ヶ月弱放置するとなにから書いていいかわからない

 

クリード』のライアン・クーグラーの続編がMCUの最新作って!!って!!とラン・ザ・ジュエルズの曲が使われたティーザー予告をリピートし続けていた。実際観てみると予想以上に単体の映画として完成度が高くて、何よりライアン・クーグラーの映画になっていて素晴らしかった。敢えて言うならアクションシーンの決め手に欠ける(1番の見せ場が2つある予告の両方で使われていたのも痛かった)かなあというぐらい。

 

父が子に故郷の歴史について語る冒頭のシーンは、1回目の鑑賞と2回目のそれでは趣きや響きの重さが全く異なることは観た人ならわかるだろうけど、それには2つ理由がある。1つは会話をしているのが今作のヴィランのエリック・キルモンガーとウンジョブであることがわかるから。ちなみに僕は初見時二人がマンションの部屋で再会するとこで気づきました。

 

そしてもう1つが、そのやりとりのシーンの最後が幼子のある一言によって締めくくられることにある。それはワカンダが自らの国の秘密や利益、平和を維持するために国外の問題に対して無干渉を決め込んできたことに対する「どうして?」という言葉。このあまりに純粋な疑問がこの作品を貫くテーマであり、その後の悲劇をきっかけに疑問は疑念に変わり、男は復讐に挑む。

 

バックボーンといい、監督の盟友であるマイケル・B・ジョーダン(実は同じMCUのファルコン役のオーディションに落ちた過去がある)というキャスティングといいドラマの主演だったし、MCU最高のヴィランの一人なのは間違いないと思う。貧民街で育った黒人が自分の出自に疑問を持ち行動するっていうのはクーグラー監督の過去作『フルートベール駅で』と『クリード』のハイブリッドみたいな設定だし、それが一国や地球規模にスケールアップしていくのがMCUならではだなあと不思議な感慨があった。

 

それに対して一応の主人公であるティ・チャラ陛下はいまいち弱い。実質の世襲制である王座もブラックパンサーとしての資格にも、「そういうもんだから」以上の動機が見えてこない。しかし尊敬する先代の王である父が犯した過ちを知り、再び対面した時彼は初めて感情を剥き出しにして怒る。そして父の過ちが生んだ悲しき怪物を退け、彼の意思をも継いだ若き王は、先代王が降りたつことのなかった、アメリカの貧民街の地面を踏む。終わる頃にはワカンダフォーエバーと叫びたくなっていた。

 

国連の前で自国の技術を提供することを宣言したことに突っ込まれてニヤニヤする陛下は観客と同じ気持ちを共有していて最高だし、「この宣言をした直後に宇宙を脅かすヤバいゴリラと地球を守るためワカンダで決戦を繰り広げるんだな…」というMCUならではの感慨に浸れるのも良い。

 

いや素晴らしかったです。2もクーグラー監督に続投して欲しいけど果たして…?

新作映画119: 『犬猿』 (一人っ子の感想)

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監督:吉田恵輔

出演:窪田正孝新井浩文江上敬子筧美和子

 

 

女女男三兄弟の真ん中の人と一緒に観にいった。あの姉妹のようないがみあいは実際にあるらしい。身体的なこととか、現在の状況に関することとか、恋愛的なこととか、メンタル的なこととか。そういう姉に対する嫉妬、また自分もたまに嫉妬されるところもあるということを、彼女は劇場を出ると聞いてもいないのに語り始めた。良くも悪くも見えてしまうんだろう。普段話を聞いていたり、実際会ってみたりするとと仲の良い兄弟なんだなと思っていたけど、そういう話は比較的少なめだったので興味深かった。ちなみに弟と包丁持ち出すレベルの喧嘩をしたことがあるという話を初めて聞いた。映画と同じぐらい面白かった。

 

窪田正孝ファンの友人は姉弟の長女なんだけど、逆に観ている間弟のことは一切頭に浮かばず、ただただ人として各キャラに思い当たるところがあり心に刺さったという風に語っていた。異性の二人兄弟だとそういうもんなのかな。ちなみに一番感情移入したのは新井浩文演じる兄だったらしい。すごい。

 

自分は一人っ子なのでスクリーンとの距離が縮まるような気持ちにはならなかったけど、至極真っ当に面白く観た。

 

「兄弟ってこういうものなんだなあ」としみじみ思ったのは弟と妹が遊園地でテーブルを挟んでする会話のシーン。どちらかが相手の兄弟の悪口を言えば、普段は嫌っていてもその場にいなければちゃんと庇ってあげたりする。良くも悪くも特別な存在なんだろうな、ということは作品のテーマではあるだろうけど、あの1シーンにはそのエッセンスが凝縮されていた。

 

笑った直後にいたたまれない、笑ってしまった自分に気まずさを覚える感じもよかった。姉が、妹と弟が付き合っていると知った途端それまで下請け企業の社長として、恋する乙女としてへーこらしていた態度をひっくり返して攻勢に出るシーンが筆頭。「そんなことしちゃってえ」なんて笑っていると弟にマジギレし始めてしまいには妹にも露骨に酷い仕打ちをし始める。お金払って映画観にきてるのになんでこんな思いしなきゃいけないんだと(無論良い意味で)ゲッソリ。かと思えば姉が兄にベビースターをぶちまける場面で「やべえやべえ」なんて焦っていると思わぬケミストリーで思わず吹き出してしまったりする。終始吉田恵輔のニヤけ面が頭に浮かんでいた。

 

ただ救急車中のやりとりで冷めてしまったりして吉田監督の過去作に比べると秀でた感じはなかったというのが正直なところではある。俺4人の昔の写真がチラッと映るだけですげー笑っちゃったから回想シーンとかは心底要らなかったんだよ。ヒメアノ〜ルの麦茶で味しめてんじゃねえのって感じまでしてしまって。かと思えば露骨にアドリブ合戦の病院の屋上シーンとかはいいんだよな〜。総じて楽しかったですよ。誰かと語るのが楽しい映画。

 

 

新作映画118: 『羊の木』

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監督:吉田大八

出演:錦戸亮松田龍平、水澤紳吾、優香、市川実日子北村一輝田中泯木村文乃松尾諭

 

 

※内容に触れております※

 

 

スリー・ビルボード』に続いて、吉田大八というだけで一切何も知らずに観た。というのがあって明らかに様子がおかしい人たちばかりが街にやってくる最序盤は楽しんだ。銘々掴みとして個性的。

 

その中でも松田龍平演じる彼の導入はそれまで主人公が行ってきたルーティンをぶった切るという方法で異質さを表現していて良かったと思う。まあこれ観てる時は忘れてたんだけど、観終わってみるとあの飯屋の前でのやりとりで最初っから他の5人の中から更に浮き出た存在ということを表してたんだなという納得をした。

 

ただ6人がそれぞれの場所に収まった〜中盤にかけて、上司と二人きりの部屋でプロジェクトの説明を受けるとことか、倉庫で幼馴染3人がバンド練習するとことか、観ていてシンプルに退屈さを覚えることが多くなってきた。一応上司が「6人が結託したらとんでもないことになるよ」ということを匂わせることでサスペンスが発生したから、じゃあ北村一輝演じる男は台風の目になって面白いことになるだろうという期待で観ていた。多分ここで前述の冒頭の松田龍平の導入のことを忘れたんだと思う。

 

結果的にいろんな意味でその期待は裏切られたと言っていい。一つはジョーカーが北村一輝でなく松田龍平だったこと。さすがにあんなわかりやすいキャラ付けの北村一輝が悪さするだけとは思ってなかったけど、松田龍平が息をするように彼を殺すシーンはさすがに驚いた。

 

導入の飯屋の前でのやりとりは、会話として見れば「主人公がいつも言ってることを初対面の彼が先んじて言う」という意気投合の予感を示すものだけど、映画的に見ればそれまでのシーンとしてのルーティンを壊す異質の存在という意味でもあったということなんだろう。

 

そう考えれば最終的に彼に話が集約されていくのは納得できなくもない。映画化にあたって単純化されたレイヤーとして考えれば「一般市民→殺人の前科持ちの人たち→松田龍平」と受け入れ難さや嫌悪のハードルが上がることになるわけだから。

 

自分はこの映画に物足りなさを覚えるわけだけど、一つの理由は多分主人公の弱さにと思う。アクの強い前科者を受け入れる市役所職員だから強いキャラ付けをせず、彼にあまり自発的な行動もとらせず観客であるこちらに投げかけている意図も感じなくはない。でも、いかんせん6人の受け皿に徹しすぎている感じはした。明らかにヤバい雰囲気の中、夜中に崖を見にいくのに付き合ったりするのには話を回すために都合良く動かされてる感じすらしてしまった。

 

僕は「土着信仰が受け継がれる閉じた街にやってきた6人の異人」という設定から社会的なせめぎあいという真面目さをイメージしていた。それをあくまで個人レベルの話に留めたのは良いんだけど、そこの決着というか決断を人ではなく神という人知の及ばないスケールの存在に委ねたのにモヤモヤする。これは上述の主人公の薄さにも繋がるところ。そこを面白さとして取ることも可能だとは思うけど自分にはいまいちピンとこなかった。

 

監督の前作『美しい星』に似た後味のようにも思うけど、あの突き放され方に感じる謎の快感みたいなものはないかな。でも前作と同じく感想書くのは楽しかった。吉田大八監督は最近は映画を持ち帰る楽しさに長けた作品作りをしているように思う。次も楽しみです。

 

 

 

 

新作映画117: 『スリー・ビルボード』

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監督:マーティン・マクドナー

出演:フランシス・マクドーナンド、ウッディ・ハレルソン、サム・ロックウェルアビー・コーニッシュジョン・ホークスピーター・ディンクレイジルーカス・ヘッジズ

 

※ネタバレしてません!!※

 

僕らのモテるための映画聖典メルマガ読者のろんぺさんが激推ししていたのと、アカデミー賞で騒がれているので観た。ろんぺさんは「何も知らずに観るのがおススメ」と言ってたので「3枚の看板が立ってる」ということ以外一切何も知らずに観に行った。出演者も監督もジャンルも知らずに観る映画というのは新鮮で、「今年はこンな感じで流されていこうかな」とすら思った。いきなり飛び込んだり。なかなか難しいかもだけど。

 

「さんまいのかんばん」って書くと寓話みたいだけど、内容にも結構寓話っぽさを感じた。なんとなくそんな感じがした。

 

悲しみと怒りと後悔が人をあらぬ行動へ導くことがある。これはもしかしたらこの作中でついに描かれなかったある存在にも言えることかもしれない。描かれるところで言えば、フランシス・マクドーナンド演じる彼女は過激である種のモラルを欠いた行動で人々の目を引こうとする。感情的な動機で行われる衝動的な行動(多分計算済みではなくたまたま目に入ったからやった)が憎しみの連鎖を生み出す。しかし感情というのものに一概な悪と断じ切れるものもなく、それは恩人の遺志を自分なりに咀嚼した結果のものであり得る。もしかしたらこれは人の歴史にも当てはまることなのかもしれない。そういうことが連綿と続いてきたのかもしれない。

 

ではそのループを抜け出すためのきっかけは何か。この映画ではそれを「許し」として描いている。ありふれていて道徳的な教え。ここに寓話っぽさを感じたのかもしれない。そのメッセージが明確に打ち出される病院のシーンにはかなりグッとくるものがあった。彼には最初からそうする優しさがあった。しかし相手の素性を知って一度その優しさを引っ込めてしまう。一呼吸(か何日後かわからないけど)おいてその手を差し伸べる。その勇気が人の歴史も変えるかもしれない。

 

この映画を観た直後「いろんな顔を見た」という印象を感じた。この映画に出てくる人の多面性、不安定な面も垣間見た。人はお互い憎しみあって許し合う。許し合えれば、立ちはだかる問題を綺麗に解決できるかどうかはわからないけど、でも少なくともそれ以前よりはマシな方向に向かうだろうという希望をもって物語が終わる。

 

マーティン・マクドナー監督が観客の僕らにパスしてきた。次に繋げるべき優しさのバトンを。

 

2017年新作映画ベスト10・ワースト3、各種個人賞の話。

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みなさん、あけましておめでとうございます。もう節分すら終わったというね。今年はちゃんと観た直後の感想をツイッターに上げて、それを足がかりにスムーズにブログに起こせるようにしたいですね。しますね。

 

並びに当ブログも皆様のご愛読のおかげで丸2年続きまして、トータルで22800件、この1年だと12000件ほどアクセスして頂いたそうで。大変有り難いことです。ありがとうございます。

 

というわけで2017年ベスト10いっくよー。

 

10位:マンチェスター・バイ・ザ・シー

 キャラクターに対する作り手の優しさに溢れた目線か描き方に現れているところがやっぱり好き。ちなみにそういう点で似た印象を持った作品は黒澤明の『續姿三四郎』だったりする。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/06/06/130711

 

9位:ビジランテ

地方都市のリアルが凝縮された筆致に打ちのめされる。持って帰ったという意味では2017年一番。

http://qml.hatenablog.com/entry/2018/01/08/172337

 

8位:わたしたち

ベストラストシーン賞。結構マジで人類の8割ぐらいは観た方がいいよ、この映画は。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/11/19/125622

 

7位:スウィート17モンスター

もし去年『何者』がなかったら今年のベストだったかもしんないです。自意識暴走系映画にはいつだって胸打たれるし、単純に笑わせてもらいました。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/12/27/110437

 

6位:ジャスティス・リーグ

マーベルとかDCとか監督とか抜きに好きです。はぐれ者達がやむを得ない理由からユナイトし、チームの良さを知ってビクトリー。むしろ前作要素が足かせになってた感。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/12/15/105943

 

5位:22年目の告白 私が殺人犯です

映画を観てて先の展開を予測したりすることが一切できない僕的には2017年で単純に一番楽しんだ映画かなと。ひいきの入江悠作品が2本もランクインしてしまったけど、監督抜きにしてもやっぱ入るよ。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/06/12/130018

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/07/06/140817

 

4位:交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション

今思えば特別賞とかチャンピオン枠とかそんなとこにすればよかったかなと思わないでもない。約10年前に出会った作品が今の僕のどツボを突いてくれた嬉しさ。素直じゃない構成すら好ましく思える。続きにも期待してます。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/10/19/192924

 

3位:ザ・コンサルタント

取り立ててツボに入ったとかいうわけではないのだけど、年末の最後まで頭から離れなかった。結局主人公のウルフが大好きなんですよ。あまりこういう見方はしないけど、総じてよくできた映画だなあと思う。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/02/24/133755

 

2位:皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

年明けにイタリア旅行に行って、その時感じた街への印象が思い起こされたというのもあり「今年の一本」という意味ではトップ。いつだってヒーロー誕生の瞬間に立ち会えることには喜びを感じる。そしてそれが原初の熱と優しさをもって描かれていたことに感動した。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/07/14/111758

 

1位:あゝ、荒野

とにかく引きずった。2017年一番引きずった。BRAHMANの「今夜」もめっちゃ聴いた。新宿に行くとあの二人は今でもその辺で走ってるんじゃないかと思う。そうあってほしいと思う。木村多江が弁当を食うカットは孤食シーン殿堂入りです。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/11/14/110146

 

次点:新感染 ファイナル・エクスプレス、パターソン、映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/11/07/152054

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/11/02/133235

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/05/29/142922

 

こっからワースト3!

 

ワースト3:スターウォーズ 最後のジェダイ

何がしたいのか、何故こうなったのか、良いと言ってる人が評価してるポイントなどは全然理解納得できる。んだけど、キャラが潰されてる上に尺が長くて面白くないのは受け入れ難い。

http://qml.hatenablog.com/entry/2018/01/14/212153

 

 ワースト2:パワーレンジャー

もうこんなことになるぐらいなら戦隊フォーマットやめろや!2時間(本家スーパー戦隊6話分の尺)あったのに全然キャラが立ってないし変身して勝利するカタルシスも薄い。

続編が動いてるって噂も聞いたけど果たして。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/08/06/130016

 

ワースト1:スプリット

迷ったけど純粋な楽しめなさではこっちが勝る。全てのリズムが合わなかった。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/05/23/143409

 

超ワースト:超スーパーヒーロー大戦

メチャクチャで歪なりに楽しませてくれてた東映ヒーロー春映画の終焉。単なるダメな映像に成り下がった。来年はやらない噂が出たがもうこれならいいかなという感じ。

http://qml.hatenablog.com/entry/2017/03/30/164124

 

ここからは各種個人賞!

 

主演男優賞

村上虹郎(武曲 MUKOKU)

ヤン・イクチュン&菅田将暉(あゝ、荒野)

ギャスパー・ウリエル(たかが世界の終わり)

 

主演女優賞

ヘイリー・スタインフェルド(スウィート17モンスター)

松岡茉優(勝手にふるえてろ)

 

助演男優賞

新田真剣佑(ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章)

般若(ビジランテ)

 

助演女優賞

恒松祐里(散歩する侵略者)

橋本愛(美しい星)

ブリー・ラーソン(キングコング 髑髏島の巨神)

 

 

遅くなりましたが本年もゆるーく続けて行くつもりです。よろしくお願い致します。 

 

 

新作映画116: 『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』

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監督:ライアン・ジョンソン

出演:デイジー・リドリー、ジョン・ボヤーガ、アダム・ドライバー、オスカー・アイザックマーク・ハミルキャリー・フィッシャールピタ・ニョンゴアンディ・サーキス、ドーナル・グリーソン、アンソニー・ダニエルズ、グウェンドリン・クリスティー、ケリー・マリー・トラン、ローラ・ダーンベニチオ・デル・トロ

 

スターウォーズシリーズ過去作へのスタンスからEP7・フォースの覚醒の思い出と感想、新宿でのEP8・最後のジェダイ最速上映の様子までも併せて。感想だけ読みたい方はしばらく飛ばしちゃってください。

 

【僕のスターウォーズに対するスタンスと前作『スター・ウォーズ フォースの覚醒』(とその思い出)、今作の事前の期待値】

(ウルトラマンを除いたら)恐らく初めて映画館で観た映画は『〜エピソード2 クローンの攻撃』だった気がする。ライトセーバー戦が子どもながらにカッコよく見えて、ライトセーバー のおもちゃを買ってもらい、SWファンの山田くんとチャンバラをしていた(ちなみになぜかクワイ=ガン・ジンモデル。山田くんはアナキンモデルで羨ましかった覚えがある)。

 

ただそこからSWにハマったかといえばそんなこともなく、シスの復讐は観なかったし、過去作に触れることもなかった。フォースの覚醒が公開される折も「ふーんやるんだ」ぐらいのテンションだったのだけど、その直前に知り合った秋山さんに激推しされて公開1ヶ月前ぐらいから過去6作を観た。ちなみに一番好きななのは『〜エピソード3 シスの復讐』。ユーワーチョーゼンワン!

 

シリーズを(半ば義務的に)一周しただけで特にハマることもなく、そこそこのテンションで公開二日目、当時クローンの攻撃を観た映画館に13年越しにフォースの覚醒を観に行った。ほぼ満員の座席に座ると隣の男子小学生3人組がカイロ・レンのライトセーバーの出力が不安定だみたいな話をしていて「ああ俺はSWを観に来たんだなあ」などとぼんやり思った。

 

短めの予告が終わってルーカスフィルムのロゴが映し出されると客席から拍手が起こる。今まで映画館にいてこんなことはなかったのでワクワクする。皆が固唾を飲んで「a long time ago in a galaxy far far away」の文字を見守る。一瞬の静寂。デーン。「STARWARS」。おなじみのロゴとテーマ曲で歓声とともに拍手。このあたりでテンションがマックスになる。「ルーク・スカイウォーカーが消えた」で僕を含めどよめく場内。いやあ、楽しかった。この時点で映画体験として最高。

 

肝心の内容はと言うとこちらも最高だった。間違いなくシリーズで一番好きな作品だと一度で確信できた。スターウォーズの世界に住む新しい世代のキャラクターたちの華やかな紹介と手に汗握る活劇として本当に楽しんだし、とにかくレイ、カイロ・レン、フィン、ポー・ダメロン、BB-8と主要の新キャラが銘々魅力的で大好きになってしまった。観終わった直後既に「早くあいつらの次の活躍が観たい!」と思っていた。

 

それより遠い以前に『LOOPER ルーパー』は観ていて、フレッシュな描写にかなり楽しんだタチだったので、そのライアン・ジョンソンが続編のメガホンを撮ると聞いて純粋に楽しみな気持ちだった。というわけでトータル期待値はかなり高めで臨んだ。

 

 

【(一般公開初日の)最速上映の様子】

公開初日の12月15日金曜、日付が変わった瞬間の回で観てきた。前述の秋山さんについて行く形で行ったのだけど、せめてライトセーバー は用意しようとのことだったので当時の憧れであったアナキンモデルを6000円ぐらいで買った。あとスターウォーズのロゴがでかでかとプリントされたパーカーも買った。

 

ロビーにはライトセーバーを持ったジェダイやらシスやらが散見され、170センチぐらいの巨大ポーグとかカイロ・レンもいた。満員の劇場に入るとほどなくしてふつーに普段通り、いや、普段より長い予告を見せられて非常に辛かった。インフィニティ・ウォーのフル予告とか初めて映画館で見れてよかったはよかったけど今は違うだろっていう。

 

上映後の様子なんだけど拍手がまばらで観客の様子も笑顔で満足という感じでは全くなく、首をかしげる人も見受けられた。うん、僕もその一人だったんだけど。

 

 

【最後のジェダイ、本編の感想】

まず、その、フォースの覚醒の新キャラたちの活躍への期待という意味では非情なレベルで裏切られたと言ってよい。

 

レイちゃんは特に何もしてないし、BB-8はまあ可愛いんだけど抱き締めたくなるような愛らしさがすっかり抜けていたように感じた。フィンは山崎邦正みたいな女(こいつの悪口は止まらなくなるのでやらないけど一つだけ言いたいのは安くないお金払って観る映画館のスクリーンに大写しにしていい顔の人ではないということ)となんかやってるし、ポーはダメダメロンだった。

 

つまるところ俺が惚れたキャラクターの皆が「スター・ウォーズの今までとこれから」的な今回の自己言及的なテーマの犠牲になってるのが腹立たしかった。多分自分はシリーズのファンではなく『フォースの覚醒』のファンなんだと思う。ついでに思ったけど、自分が映画に観るものは物語やテーマより人間やキャラクターそのものなのかもしれない。

 

てゆーか熱心なファンの人の中にも今回のルークを見て自分がEP7のキャラに感じることと同じ思いを抱く人もいるんじゃないのか。自分の抱くキャラ像はそんなんじゃなかったし、見たかったのもこれじゃないというようなさ。

 

ルークついでに言うとルークが燃え盛る壁の裂け目から出てくシーンは心底かっこいいと思った上に総攻撃を受けて余裕で服を払う仕草にシビれた身としては、実は分身(?)でしたというのはそれまでのアゲを上回るレベルでガッカリしました。しかもそれで死ぬのお前?マジで?嘘だろ?

 

そんな中「こいつだけ前へ進み続けている」と思ったのはカイロ・レンさんその人。この退屈な作品を貫く内省的なスタンスとキャラクターの方向性が唯一一致した人物とも言える。自分がベイダーの後釜でないこと(ベイダーのコスプレしてること)をハッキリ指摘され「もう全部ぶっ壊して新しいことやろーぜ」というところまで振り切るところには、直前のライトセーバー戦で劇中初めてアガったのも相まってカタルシスすら感じた。頑張れカイロ・レン。お前が新たなる希望だ。

 

というわけでEP9はマジで今回の三部作のキャラたちの花道になるようなのホント頼むよJJという感じです。その後は恐らく観ないと思います。