静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画080: 『22年目の告白 私が殺人犯です』 1回目/ネタバレ無編

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監督: 入江悠

出演:藤原竜也伊藤英明仲村トオル夏帆竜星涼早乙女太一野村周平石橋杏奈岩松了平田満宇野祥平黒田大輔、川瀬陽太、板橋駿谷、岩城滉一

 

 

普段本作の入江悠監督主宰のメルマガ(僕らのモテるための映画聖典メルマガ)を購読している故あって、ネタバレなしの感想を先に書きたい。いや、それ以上にいち早くオススメしたい気持ちが強い作品なのも間違いない。

リメイク元の『殺人の告白』含め、何も知らずに観た方が絶妙面白いので行く気がある人はこれすら読まない方がいいかも。

 

現時点で上半期ベスト級によかった。どうよかったかと言えば、とにかく真っ当に面白かったというところに尽きる。特に中盤以降の加速の仕方が気持ちいい。

 

 「22年前に起き、現在では時効を迎えた連続殺人事件の犯人が世に姿を現わす」というあらすじを初めて聞いた時は「え、そんなんする必要ないっしょ……」と思ったものだけど、蓋を開けてみると、そこに限らず人物の行動の納得度が非常に高い。加えて1度観てからもう一度観れば、行動の裏にあるその人の心理も浮き彫りになってくる。監督本人も自信があると言ってるところだけど、まず脚本がすごくイイんだと思う。

 

撮影、音楽、編集もハッとするような使われ方をしていたりして、作品を高いレベルに押し上げているように感じた。特に音楽はそれ自体も使い方もかなり独特で、この意図や作用についてはネタバレ記事で考えてみたい。とても印象的な部分。

 

演技の質が高いのはまあこのメンツならねという感じだけど、その抑制の仕方が絶妙だと感じた。この手の題材だったらまだまだ湿っぽい感じ、涙腺に訴える感じにもできたと思うけど、あくまでドライに作劇を追求する姿勢がカッコいい。特に藤原竜也はこの手の役をやる時のパブリックイメージが大方固定されてるのを出し抜くような演技をしていて僕も驚いた。そこも作劇に寄与しているあたり計算されているんだなと感心する。キャスティングもハマっている。夏帆よかった。

 

取り急ぎのレコメン記事。入江監督は日本のメジャー映画界に蔓延する閉塞感のようなものを打破してくれそうな監督の一人だと確信できた。

 

P.S 僕は小さく出てました。