静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画079: 『美しい星』

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監督:吉田大八

出演:リリー・フランキー亀梨和也橋本愛中嶋朋子佐々木蔵之介若葉竜也、藤原季節、板橋駿谷、樋井明日香

 

 

 ※内容に触れているので覚醒してから読んでください※

 

 

「わからないとつまらないは違う」というのは映画監督入江悠の言である。

(6/10から氏の新作『22年目の告白』公開!筆者も出演。多分。)

思えば映画を「意味わかんなかった」で切り捨てるには惜しいメディアであると思うようになったのも、この言葉を聞いてからかもしれない。このブログを始めたのもそういう気持ちが高まったからだった。

 

この映画を観ている時程この言葉を思い出した時はないんじゃないかとすら思う。物語で起こることに徹頭徹尾説明がないのはいい。問題は「何を伝えようとしてこの映画を作っているのか」がわからないということだ。普段からどの作品を観てもわかっていないつもりだったけど、この映画に比べたら数段マシなんじゃないかと思える。

 

だからこそなのか、スポットで「めっちゃわかる」と思える箇所があった。リリー・フランキー亀梨和也佐々木蔵之介がニュースのスタジオで銘々の意見をぶつけ合うシーン。僕はこの場面の佐々木蔵之介の意見に死ぬほど同意してしまった。俺の脳内を読んで脚本に写したのかってレベル。

 

要約すると「自然の一部でしかない人間が環境破壊だなんだと騒ぐのは傲慢。人間も地球温暖化もサイクルの一部でしかない。」という感じ。僕の場合はシーシェパードとかあの辺が目立つようになったあたりから「人間が他の動物の保護をする」という行動にすごく違和感を感じて、理由を考えた結果こういう結論に達した。確か。

(理屈としてそう思うだけで、僕個人が捨て犬を殺処分していいとか思ってるわけではない。矛盾。)

 

それに対して僕らの味方リリーさんは「太陽系連合が人類抹殺を許可するはずがない」と反論、その証拠としてUFOを探しに家族で山登り、無駄に神々しい牛さんのお世話になりながら登頂、無事UFOを発見したリリーさん一家、と思ったらUFOにはリリーさんが乗っていて、地上にいるリリーさん一家を見下ろしているのだった。完。

 

わかるかいこんなもん。

 

でも書いてて思った、天然自然の一部たる牛さんが人類抹殺の可否を問う審判の場所に人間(精神は他星人)を連れて行く手助けをするというのは示唆的だ。つまり自然もジャッジを委ねこの地球を巡る人間と自然の因果に白黒つけたいと思ってるのかもしれないということ。

 

だって牛だよ?借りるのも連れて来るのもめちゃくちゃ手間かかるはずなのに、わざわざ連れてきて撮影してるってことは何か重要なメッセージがあるはずなんだよな。でもわかんない。でもつまんないわけじゃないの。

 

総じて観てる時はポカン(´⊙ω⊙`)だったけど、後から考える分には面白い不思議。金星人のミスコンとかぶん投げてるけどあれは橋本愛の美しさとそれを存分に引き出した撮影&照明で納得するしかない。終わり!