静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画116: 『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』

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監督:ライアン・ジョンソン

出演:デイジー・リドリー、ジョン・ボヤーガ、アダム・ドライバー、オスカー・アイザックマーク・ハミルキャリー・フィッシャールピタ・ニョンゴアンディ・サーキス、ドーナル・グリーソン、アンソニー・ダニエルズ、グウェンドリン・クリスティー、ケリー・マリー・トラン、ローラ・ダーンベニチオ・デル・トロ

 

スターウォーズシリーズ過去作へのスタンスからEP7・フォースの覚醒の思い出と感想、新宿でのEP8・最後のジェダイ最速上映の様子までも併せて。感想だけ読みたい方はしばらく飛ばしちゃってください。

 

【僕のスターウォーズに対するスタンスと前作『スター・ウォーズ フォースの覚醒』(とその思い出)、今作の事前の期待値】

(ウルトラマンを除いたら)恐らく初めて映画館で観た映画は『〜エピソード2 クローンの攻撃』だった気がする。ライトセーバー戦が子どもながらにカッコよく見えて、ライトセーバー のおもちゃを買ってもらい、SWファンの山田くんとチャンバラをしていた(ちなみになぜかクワイ=ガン・ジンモデル。山田くんはアナキンモデルで羨ましかった覚えがある)。

 

ただそこからSWにハマったかといえばそんなこともなく、シスの復讐は観なかったし、過去作に触れることもなかった。フォースの覚醒が公開される折も「ふーんやるんだ」ぐらいのテンションだったのだけど、その直前に知り合った秋山さんに激推しされて公開1ヶ月前ぐらいから過去6作を観た。ちなみに一番好きななのは『〜エピソード3 シスの復讐』。ユーワーチョーゼンワン!

 

シリーズを(半ば義務的に)一周しただけで特にハマることもなく、そこそこのテンションで公開二日目、当時クローンの攻撃を観た映画館に13年越しにフォースの覚醒を観に行った。ほぼ満員の座席に座ると隣の男子小学生3人組がカイロ・レンのライトセーバーの出力が不安定だみたいな話をしていて「ああ俺はSWを観に来たんだなあ」などとぼんやり思った。

 

短めの予告が終わってルーカスフィルムのロゴが映し出されると客席から拍手が起こる。今まで映画館にいてこんなことはなかったのでワクワクする。皆が固唾を飲んで「a long time ago in a galaxy far far away」の文字を見守る。一瞬の静寂。デーン。「STARWARS」。おなじみのロゴとテーマ曲で歓声とともに拍手。このあたりでテンションがマックスになる。「ルーク・スカイウォーカーが消えた」で僕を含めどよめく場内。いやあ、楽しかった。この時点で映画体験として最高。

 

肝心の内容はと言うとこちらも最高だった。間違いなくシリーズで一番好きな作品だと一度で確信できた。スターウォーズの世界に住む新しい世代のキャラクターたちの華やかな紹介と手に汗握る活劇として本当に楽しんだし、とにかくレイ、カイロ・レン、フィン、ポー・ダメロン、BB-8と主要の新キャラが銘々魅力的で大好きになってしまった。観終わった直後既に「早くあいつらの次の活躍が観たい!」と思っていた。

 

それより遠い以前に『LOOPER ルーパー』は観ていて、フレッシュな描写にかなり楽しんだタチだったので、そのライアン・ジョンソンが続編のメガホンを撮ると聞いて純粋に楽しみな気持ちだった。というわけでトータル期待値はかなり高めで臨んだ。

 

 

【(一般公開初日の)最速上映の様子】

公開初日の12月15日金曜、日付が変わった瞬間の回で観てきた。前述の秋山さんについて行く形で行ったのだけど、せめてライトセーバー は用意しようとのことだったので当時の憧れであったアナキンモデルを6000円ぐらいで買った。あとスターウォーズのロゴがでかでかとプリントされたパーカーも買った。

 

ロビーにはライトセーバーを持ったジェダイやらシスやらが散見され、170センチぐらいの巨大ポーグとかカイロ・レンもいた。満員の劇場に入るとほどなくしてふつーに普段通り、いや、普段より長い予告を見せられて非常に辛かった。インフィニティ・ウォーのフル予告とか初めて映画館で見れてよかったはよかったけど今は違うだろっていう。

 

上映後の様子なんだけど拍手がまばらで観客の様子も笑顔で満足という感じでは全くなく、首をかしげる人も見受けられた。うん、僕もその一人だったんだけど。

 

 

【最後のジェダイ、本編の感想】

まず、その、フォースの覚醒の新キャラたちの活躍への期待という意味では非情なレベルで裏切られたと言ってよい。

 

レイちゃんは特に何もしてないし、BB-8はまあ可愛いんだけど抱き締めたくなるような愛らしさがすっかり抜けていたように感じた。フィンは山崎邦正みたいな女(こいつの悪口は止まらなくなるのでやらないけど一つだけ言いたいのは安くないお金払って観る映画館のスクリーンに大写しにしていい顔の人ではないということ)となんかやってるし、ポーはダメダメロンだった。

 

つまるところ俺が惚れたキャラクターの皆が「スター・ウォーズの今までとこれから」的な今回の自己言及的なテーマの犠牲になってるのが腹立たしかった。多分自分はシリーズのファンではなく『フォースの覚醒』のファンなんだと思う。ついでに思ったけど、自分が映画に観るものは物語やテーマより人間やキャラクターそのものなのかもしれない。

 

てゆーか熱心なファンの人の中にも今回のルークを見て自分がEP7のキャラに感じることと同じ思いを抱く人もいるんじゃないのか。自分の抱くキャラ像はそんなんじゃなかったし、見たかったのもこれじゃないというようなさ。

 

ルークついでに言うとルークが燃え盛る壁の裂け目から出てくシーンは心底かっこいいと思った上に総攻撃を受けて余裕で服を払う仕草にシビれた身としては、実は分身(?)でしたというのはそれまでのアゲを上回るレベルでガッカリしました。しかもそれで死ぬのお前?マジで?嘘だろ?

 

そんな中「こいつだけ前へ進み続けている」と思ったのはカイロ・レンさんその人。この退屈な作品を貫く内省的なスタンスとキャラクターの方向性が唯一一致した人物とも言える。自分がベイダーの後釜でないこと(ベイダーのコスプレしてること)をハッキリ指摘され「もう全部ぶっ壊して新しいことやろーぜ」というところまで振り切るところには、直前のライトセーバー戦で劇中初めてアガったのも相まってカタルシスすら感じた。頑張れカイロ・レン。お前が新たなる希望だ。

 

というわけでEP9はマジで今回の三部作のキャラたちの花道になるようなのホント頼むよJJという感じです。その後は恐らく観ないと思います。