静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

新作映画088: 『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』

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監督:三池崇史

出演:山崎賢人神木隆之介小松菜奈岡田将生新田真剣佑山田孝之伊勢谷友介観月ありさ國村隼

 

 

この映画の企画を聞いた途端血の気が引き、座組みを見て失神した人は日本に数知れないと思う。僕は当時大々的に行われた発表記者会見の様子をLINEライブで見ながら真顔になっていた。なぜなら「絶対ダメだ」という悪魔と「いや、でも三池崇史山崎賢人も作品をロクに見たことないし決めつけるのは早い…」という天使が脳内でスタンドバトルを繰り広げていたからだ。ちなみにジョジョは高校生の時バーっと7部まで一気読みしたぐらいで、面白かったけど取り立ててファンという訳ではないし内容の記憶も歯抜けである。

 

結論から言うと割と杞憂だった。実写化云々的な問題というより、明確に映画としてどうなのよと思うところがあったぐらい。それぞれ挙げてみる。

 

【映画としてアレなところ】

一言で言えばテンポが悪い。

カット単位で言えば仗助と朋子(母)がリビングで話すシーンとか無駄に1カットな割に謎の間があったりして「何この間」と思ったら終わってスカされた気分になったり。

 

構成もこの問題を助長しているように思う。特に虹村形兆戦の時は並行して走ってる話が他にない上に決着までは割と同じことの繰り返しだったりするのでとても冗長に感じた。康一のスタンドが覚醒するという楔が打ち込まれたりするけどいまいちフックが弱い。バッド・カンパニー(虹村形兆のスタンド)のCGも良いだけにもうちょっと見せ方で「おっ」となるようなところがあれば感じ方が変わったと思う。構成は原作通りなのかもしれないけど、映画にするとなればそこは工夫が欲しかった。

 

あと山岸由花子が映るシーンに関しては、いちいち本筋の話の間に挟まってくるので著しく話がつっかえる割に、第一章では彼女自身の味が何も出てなかった。結果としてわざわざ原作から改変して第一章の頭から登場させている意味が何もなかったのが痛すぎる。無駄にもったりした話し方で康一くんに付きまとうメンヘラという感じしかしない。小松奈々がハマりまくってるだけに本当に勿体無い。踏まれたい。

 

ジョジョの実写映画としてイイところ】

まず原作にも覚えた単純に「コイツらの活躍をまた見たい!」という感じが蘇ってきて嬉しかった。まあもっと言えば仗助と億泰のコンビが見たいんだよね。いや更に言うと真剣佑が演じる億泰が見たいんだよね。お世辞なしで役者は皆良かったけど、彼は「実写映画のジョジョ」に対するチューニングが頭一つ抜けてたように思う。僕が最悪だと思うのは実写化で原作(やそのアニメ化)のモノマネ演技をすることなんですけど(某巨人映画の石なんとかさんとか)、彼は元のキャラっぽいのに実在感も兼ね備えるという理想的なバランスを保っていたように感じた。

 

伊勢谷友介演じる承太郎の帽子と一体化した後ろ髪などそのままやるんかいとツッコミたくなるところもあったけど、衣装や美術もそれっぽさとありそう感の塩梅が上手で違和感もなかったなあ。スペインロケが効いてる上に登校風景は日本人の生徒がいっぱい映ってたり看板も日本語のものになってたり、苦労の甲斐があったねえと労いたくなる。美術の人大変だったろうなあ。

 

あとCG。スタッフロールにジョジョのゲーム出してるバンダイナムコのロゴが入ってたから、スタンドのモデリングに協力してると思われる。だけあってここも違和感なかったなあ。ゲームだと割と実体っぽい感じなんだけど、透明感があって実写の俳優と画面でマッチングしてた。アンジェロが水のスタンド使いって聞いた時「CG大丈夫かよおい〜」なんて思ったりしたけど、結構な分量真っ正面からちゃんとやってて驚いた。アンジェロ戦はほんとに「映画でジョジョやってる!!」ってちょっと感動したもんなあ。

 

さっき脚本の構成を偉そうに指摘したけど、原作で扱いが小さかった(らしい)仗助の祖父の良平のエピソードを膨らませたのは展開に納得度を持たせていたと思う。『武曲』の時も書いたけど國村隼はなんかもう存在自体に説得力がありすぎて、この人がこうなったら仗助はああなるよなって思えちゃうんだよね。

 

まあそんな訳で僕は続編熱烈希望です。なんか客入り厳しいみたいだけどマジで頼むよワーナーさん〜。