静かなる備忘。

レビューと言いつつ映画の感想と触発されて考えたことをだらだら書いています。むしろ後者がメインになりつつある。

映画:オールタイムベスト10の話('17 1/16現在)。

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突然ですが、今までちゃんと決めたことのなかったオールタイムベスト10を考えてみました。と言ってもちゃんと映画を観るようになってから3年半ぐらいしか経っておらず、本数で言えば550本程度しか観ていないのですが。

邦画10→洋画10→混合10の順で。

 

〈邦画〉

10位:生きる (1952)

監督:黒澤明

主演:志村喬

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観た中で一番励まされた映画。

余命が幾ばくもないことを知り怯える老人、あることをきっかけに(文字通り)お役所仕事をやめて余命を燃やす老人を志村喬が全身で表す。特に暗闇に光る眼が忘れられない。僕は「例え死ぬ半年前でも人は変われるかもしれない、始めるのに遅いことはない」というメッセージと捉えた。誰もがそうでないというバランスのラストも綺麗事のみに終始していなくて好き。

 

 

9位:秋立ちぬ (1960)

監督:成瀬巳喜男

主演:大沢健三郎

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観た中で一番嬉しい発見だった映画。

たまたま空いた時間に初めてふらっと入った池袋新文芸坐で出会った作品。

秀男は父を亡くし田舎から母と東京に出てきたが、母は住み込みで働く旅館の客と駆け落ちしてしまう。都会暮らしに馴染めない秀男だったが、旅館の娘の順子と仲良くなっていく。

二人の子供がお互いを居場所とし仲を深める様がとても微笑ましくも切ない。「~ずら」「~じゃん」と田舎訛りが抜けない小六の秀男くんと小四にも関わらずやたら「大人をわかった」ようなことを言う都会っ子の順子ちゃんのやりとりが笑いを誘うのだけどどこかやりきれない感じ。それは彼らが絶えず大人の都合に振り回されているから。恐らく子どもであるということの良し悪しを同時にスクリーンに投影しているからなのだと思う。

鑑賞後に調べるとソフト化されていないという。口惜しいのと同時に貴重な機会に巡り会えたと少し嬉しくなる自分もいた。

 

 

8位:CURE (1997)

監督:黒沢清

主演:役所広司

 

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観た中で一番怖い映画。

入江悠監督の「黒沢清作品は『はっきりした私(主人公)とあいまいなあなた』というテーマに貫かれているという指摘はまさしくと思った。あいまいな存在に主人公が侵略されるにつれ、スクリーンに映る全体もその色に染まっていくような感じ。ひいてはそれが観たあとの僕らの日常にも残像として焼きついて景色が違って見える感覚がこの作品にはある。街中で独り言を喋っている知らない人を見ると確実にこの映画を思い出す。

詳しくは個別記事で。

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7位:シン・ゴジラ (2016)

総監督:庵野秀明 監督:樋口真嗣

主演:長谷川博己

 

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観た中で一番圧倒された映画。

それは展開のスピーディーさ、情報量の多さ、画面に映るもの、耳からはいるものあらゆる意味において。前情報なしでこの作品世界に入り込めたことで、今かかってる映画を映画館に観に行くことの喜びも改めて感じられた。

僕は特撮作品が好きなのでオールタイムベストを決めるなら一本は入れようと思ってたけど、その枠は迷いなくこの作品にした。

 詳しくは個別記事で。

 

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6位:何者 (2016)

監督:三浦大輔

主演:佐藤健

 

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観た中で一番俺の映画。

語り尽くしたので最早何も言うまいという感じすらある。

自分が今このタイミングで公開されたのもそうだし、内容的にもドンピシャだった。

詳しくは個別記事で。

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5位:SR サイタマノラッパー (2009)

監督:入江悠

主演:駒木根隆介

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観た中で一番映画の多様性を感じた映画。

主人公は何かを達成するわけでもないし、むしろ映画開始時より後退してる。

ダメでみっともないけど、だからこそそこに目を向け目を逸らさない。

観たのが映画を観るようになってすぐだったというのもあり、こういう映画もあるんだと驚いた。

一回目はラストに困惑したけど、エンドロールを見ている内にキャラクターたちへの思い入れが深まってその場で二回目を見始めた稀有な作品でもある。

そういうのもあってやっぱり1が一番好きかな。

 

 

4位:あの夏、いちばん静かな海。 (1991)

監督:北野武

主演:真木蔵人

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観た中で一番美しい映画。 

主人公はまずしい格好だし、サーファーたちのルックはモロに90年代風でクソダサいし、サーフィン映画なのに海や砂浜も汚い。なのになぜか異様な美しさを感じるあたりやっぱり北野武なのかもしれない。ファーストカットから素晴らしい。あと音やセリフが少なくて作業に適しているので一時部屋にいるとき延々流していた。

僕はどうしてもラストのショットの連なりが好きすぎてならない。もうどうしてもあの河原さぶの表情で泣く。

 

 

3位:私たちのハァハァ (2015)

監督:松居大悟

主演:大関れいか、真山朔、井上苑子三浦透子

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観た中で一番作り手の優しい眼差しを感じた映画。

自分たちが世界の中心と思っているようなノリ(街中にめっちゃいる)の女子高生四人組がクリープハイプ(バンド)のライブのため勢いで北九州から東京に自転車で繰り出すのだが、勿論一筋縄で行かず、世界の広さやままならなさ、自分に出来ること、そして出来ないことを思い知り鼻っ柱を叩きおられる話です。甘やかしがほぼ感じられず、ハッキリ若さの愚かさの部分にスポットを当てている。ただ本当に感動したのはラストシーンで愚かさ込みで彼女たちを肯定する目線を感じたこと。これは前述のサイタマノラッパーや、これから挙げる幾つかの作品にも通じる要素ですが。

単純に全編通して四人が異様なリアリティを発揮していて、かつて女子高生だった人やそれを見てた男どもはそれだけで面白いこと請け合い。

 

 

2位:椿三十郎 (1962)

監督:黒澤明

主演:三船敏郎

 

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観た中で一番面白いと思った映画。 

勉強のために観た『生きる』とこの作品が良すぎて黒澤明フルマラソンをやった思い出。とにかく三船敏郎がかっこいいし話も単純明快で面白い。何より素晴らしいのが尺が96分。

詳しくは個別記事で。

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1位:そこのみにて光輝く (2014)

監督:呉美保

主演:綾野剛

 

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観た中で一番「観て良かった」と思った映画。

どん底にいる男女が引力とか言えないような力に導かれて距離を縮めていく様に「これが映画か」とテアトル新宿の暗闇で思った記憶。加えて一人の優しい若者が凶行に及ぶまでの心の動きが克明に静謐に描かれている。撮影、音楽、役者のすべてがこれ以上ないように思えるのは、キャストとスタッフがこれ以外ないハマりかたをしているからなのだろう。質、内容ともにベスト邦画とさせて頂きました。

 

 

〈外国映画〉

10位:明日、君がいない (2006 オーストラリア)

監督:ムラーリ・K・タルリ 

主演:テリーサ・パーマー

 

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観た中で一番忘れられない映画。

冒頭、学校内で誰かが命を絶つ。話はその日の朝に戻り、6人の高校生たちの悩みや問題が互いに交差しながら描かれていく群像劇。

ネタバレはしたくないので詳しく言えないけど、僕はこの当時19歳の監督の意図に見事にひっかかって、結果的に反省した。賛否分かれる作品だし重いテーマを扱ってるけど未だに頭にこびりついてたまに思い出す。学生たちのインタビュー映像が逐一挿入されたりして作品として良く出来てるのかどうかはわからないけど、メッセージ性の強さという一点でインパクトがある作品だった。入れるか迷ったけど入れた。

 

 

9位:グラントリノ (2008 アメリカ)

監督、主演:クリント・イーストウッド

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観た中で一番重みを感じた映画

コワルスキーがキャビンでバドワイザー飲みながらタオを見守るシーン最高。

頑固爺さんが近所の若いのと交流して心を開く話と言えばそれまでなんだけど、その骨子の周りに人種・戦争といったアメリカという国にまつわる要素やイーストウッド自身の人生で重ねてきたものが重層的に肉付けされているからこその感動があったと思う。

勝手にアメリカ映画=家族愛みたいなイメージを抱いていた頃だったので、それを裏切ってくれたストーリーも嬉しかった。血縁関係とか人種とか関係なく受け継がれていくものがあるってことなのかもしれない。

余談だけどこの映画を撮ったあのイーストウッドが行き過ぎたポリティカルコレクトネス主義社会に辟易した結果トランプ支持派にいるってのがなんか皮肉。その理由にこの映画の脚本を「ポリティカルコレクトネスに欠ける」と言われたエピソードを例に挙げててちょっと悲しいぞ。

 

 

8位:最後まで行く (2014 韓国)

監督:キム・ソンフン

主演:イ・ソンギュン

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観た中で一番意地の悪い映画。

以前「韓国映画の魅力は主人公を虐め抜くSっ気にあると思う」って書いたけど、それが最もエンターテインメントな形で発揮されてて最高に面白い作品(ちなみにシリアス方向で発揮されてて好きな作品は『息もできない』) 。

汚職警官の主人公が母親の葬儀途中に「科に財務監査が入った」と連絡を受け、中抜けして署に車を飛ばしてる途中で人をはねてそれらの火消しに奔走しまくる話。もうあらすじが酷い。それら隠蔽のプロセス一つ一つが絵ヅラとして間抜けだったり、意外な邪魔が入ったりしてバレそうになる様がいちいち笑える。主人公は大体こんな↑感じの顔をしている。

自分はこんな目に逢いたくないが見ている分には最高に面白い。映画の良いところだ。

 

 

7位:バッファロー'66 (1998 アメリカ)

監督、主演:ヴィンセント・ギャロ

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観た中で一番愛らしい映画。

主人公の印象が冒頭とラストで一番良くなった映画でもある。初見の感じの悪さにちゃんと理由があって納得度も高いのがいい。しかもとてもありふれた理由笑

「最悪の俺に、とびっきりの天使がやってきた」というキャッチの通り、出所したばかりの主人公の下に天使のようなクリスティーナ・リッチが現れる。色も全体的にめっちゃ白いし意図的なんだろうけど最早おとぎ話なレベルで天使。彼女を通して主人公ビリーの境遇が明らかになるにつれもう彼がたまらなく好きになってしまった。

もうラストはあれ以上ないと思う。愛すべき作品。

 

 

6位:イントゥザストーム (2014 アメリカ)

監督:スティーヴン・クォーレ

主演:リチャード・アーミティッジ

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観た中で一番登場人物に「頑張れ」と思った映画。

正直B級ディザスター映画だと思ってナメていた分、いやそれを抜きにしても人間ドラマの部分で非常に満足度が高かった。こんなに登場人物に死んで欲しくないと思った映画もそうない。

冒頭→(竜巻で死に際に直面した)中盤→(竜巻を経た)終盤の主人公たちのスタンスの変化にとても感心。手持ちカメラで撮ってる意味もちゃんとある。とてもよくできたドラマだと思います。竜巻が大迫力なのは言うまでもない。特にストームにイントゥするカットは出色。劇場で観られる機会があったら是非観て頂きたい。しかも89分!!!イントゥせよ!!!!!

 

 

5位:トレインスポッティング (1996 イギリス)

監督:ダニー・ボイル

主演:ユアン・マクレガー

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観た中で一番かっこいいと思った映画。

これはもうラストが本当に好きですね。元々映画のえの字も知らない高校生の時にUnderworld目当てで観たんですけどこれ以上ないかかり方してて。あの曲が流れだすタイミングがマークの決断を物語ってる。過去の自分と決別する瞬間。

そういう意味で今年公開の続編が蛇足にならないことを祈る…。

 

 

4位:22ジャンプストリート (2014 アメリカ)

監督:フィル・ロード、クリストファー・ミラー

主演:チャニング・テイタムジョナ・ヒル

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観た中で一番笑った映画。

映画で腹が痛くなるぐらい笑ったのはこの作品が唯一かもしれない。ジョナヒルが警部の娘とヤったことを知った時のチャニングテイタムとビュッフェで暴れるアイスキューブの時点で5億点です。前作じゃなくこっちを入れたのはアイスキューブ補正がデカい。映画館で観てみたいなあ。

 

 

3位:クリード チャンプを継ぐ男 (2015 アメリカ)

監督:ライアン・クーグラー

主演:マイケル・B・ジョーダン

 

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観た中で一番燃えた映画。

『ロッキー』の当時の感動が本当の意味で僕らの世代に蘇ったということなのかもしれない。

老境に達したロッキーと、ロッキー達の戦いに憧れた若者の最高の共闘はいつ観ても僕を奮い立たせてくれる。

詳しくは個別記事で。

 

 

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2位:フォックスキャッチャー (2015 アメリカ)

監督:ベネット・ミラー

主演:スティーブ・カレル

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観た中で一番悲しい映画。

 「なぜ大財閥の御曹司は、オリンピックの金メダリストを殺したのか?」というキャッチが気になって、特に評判も聞かずにふらっと観にいったら冒頭5分で「あ、いい」と直感した。「主人公はレスリングの金メダリストでありながら名声や富から程遠い生活をし、日々の生活に満足していない」という事実が静謐なタッチの画面からひしひし伝わってきたから。

この予感を最後まで裏切らない傑作だった。自分にないものを他者の中に見つけてしまったのに手に入れることが叶わなかった悲しい男の話。

 

1位:クロニクル (2013 アメリカ)

監督:ジョシュ・トランク

主演:デイン・デハーン

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観た中で一番影響を受けた映画。 

超能力を手に入れた高校生3人がその様を自分たちのカメラで撮影し始めるが、段々エスカレートしていく力の行使で3人の関係性に変化が生じていく話。

序盤のほのぼのバカ男子トーンから一転、中盤以降は主人公アンドリューの家庭環境や自身の「ある失敗」による凶行が描かれる。

初めてシネマカリテで観終わった時は茫然自失でしばらく立ち上がれなかった。しばらく3人のことばかり考えていた。同時に映画ってこんなに面白いんだな、もっとこういう作品に出会いたいなと思うようになった。

今映画館に通ったり家で過去作を観たりするようになったきっかけの作品というのもあるし、単純に一番登場人物を身近に感じたし思い入れがあるからというのもある。

文句なしの個人的ベスト。

 

 

というわけでオールタイムベスト10はこちら。

〈混合〉

10位:シン・ゴジラ (2016)

9位:何者 (2016)

8位:SR サイタマノラッパー (2009)

7位:あの夏、いちばん静かな海。 (1991)

6位:椿三十郎 (1962)

5位:クリード チャンプを継ぐ男 (2015)

4位:私たちのハァハァ (2015)

3位:そこのみにて光輝く (2014)

2位:フォックスキャッチャー(2015)

1位:クロニクル (2013)

 

案の定映画館で観た最近の映画が多くなっちゃってますけど…笑

これがどんどん塗り替えられてるような出会いがあればいいなあと思います。

じゃまた。

2016年新作映画ベスト10の話。

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皆さん、新年明けましておめでとうございます!!

 

そして当ブログも開設してから1年間コンスタントに更新し続けることができました。ひとえに皆さんのご愛読(?)のおかげです。1年間で10800件ほどのアクセスを頂いたようです。実際数字はモチベーションになるので本当ありがたいです。今年は昨年の60本は超えたいですねー。今年も1年間よろしくお願いします。

 

というわけで僕が2016年映画館で観た新作60本からベスト10を発表します。

 

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10位:この世界の片隅に

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原作から素晴らしいし、映画にした意味もちゃんとある。

日本人に観て欲しいという意味では今年ベスト。

 

9位:クリーピー 偽りの隣人  

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観てるときはベスト10に入るまででもなかったけど、後に他の人の解釈や感想で好きになった枠。やっぱり映画は観るだけで終わらせるには勿体無い。

年末、今年のベストシーンという話題で「クリーピーの鍋いっぱいのシチュー」という響きで大笑いした。

 

8位:永い言い訳

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記事を読み返したらめちゃめちゃ短くて驚いた。

実はシーン単位で好きなところがいっぱいある映画だと気付いた。「バカな顔」はあのシチュエーションで絶対言われたくない。

やっぱり白眉は、妻の死を知った疎遠だったと思われる知り合いからの宗教勧誘の電話をバックに荒れ放題の幸夫くんの部屋が映されるシーン。改めて字面にすると全く笑えなくてすごい。

 

7位:ちはやふる 上の句

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正直ナメてたのでこれでもかというぐらいやられた。

無双しまくってる広瀬すずの輝きをメインに描くのではなく、それに当てられた凡人たちの奮闘を真ん中に据えたやり方がドンピシャだったのだと思う。特にメガネくんは自分に重なる部分もあり泣けて仕方なかった。

 

6位:ドント・ブリーズ 

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うんうん悩んでこの位置に入れました。観るまでは『イット・フォローズ』をベスト10に入れるか悩んでいたのですが、入れ替わりでこっちがランクイン。単純な面白さなら今年ベスト級と記事に書きましたが、もうベストと言っていい。とにかく88分に詰め込まれまくって時間あたりの満足度が尋常じゃない。天井のガラスのとこが一番ハラハラしたかな。

 

5位:シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

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とにかくバトルシーンが見ていて気持ち良いし、色んなヒーローが出てきて楽しかった(チンパンジー並の感想)。そしてブラックパンサーとスパイダーマンのエピソード0としても胸熱。この作品を経てMCUシリーズが今後どう展開していくのか楽しみでしょうがない。

 

4位:海よりもまだ深く

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自分でも意外なぐらいの高順位。なんだかシビルウォーとは別のベクトルでずっと観ていたい映画でした。なんか本当に座りが良くて。僕が今まで観た中でもトップクラスに優しい映画だったのかなと。因みに本作の町田くんは個人的ベスト池松壮亮でもあります。

 

3位:ヒメアノ~ル

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本当にショッキングで、気持ちの良い作品ではないけど今年一番「映画を観る喜び」を感じられた作品。そしてこの作品がシネコンで多くの人の目に触れたという事実もまた嬉しい。タイトルは今年観た映画の中で一番シビれたシーン。

ちなみに恐らくこれが今年一番読んでもらった記事だと思います。 主に森田剛ファンの皆さんRTありがとうございました。間違いなく彼が今年の主演男優賞です。多分森田くんのことは一生忘れないと思う。

 

2位:シン・ゴジラ

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唯一今年3回観に行った映画なのかな。3回しか観てなくてすみません。

期待したいのに期待できない、でも予告を見るとどうしても期待せざるを得ない…!!そんなグラグラな自分の気持ちを最高の形で救ってくれた作品。

國村隼高橋一生も好きだけど、個人的な推しキャラは吉田ウーロン太演じる経済産業省の町田さんです。電話越しに頭を下げる様がイイ。

 

1位:何者

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 文句なしの個人的今年ベスト。あまりに個人的なツボに刺さりすぎて直視できないレベルだった。三浦大輔に精神的リンチを受けた。

が、ラストシーンとエンドロールにすべて救われる。最高。

映画にそこまで明るくない同年代の友人との話が一番盛り上がった映画でもある。

ちなみに「(何者を観た上でこの映画の)主人公に似ている」って言われた回数が年末までで5回になったよ。嬉しいな(棒)。

 

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というわけで2016年新作ベスト10でした。10本中8本と案の定邦画が多かったです。まあ年間ランキングだとどうしても不利になる4月までが洋画が多めだったから仕方ないね。何より単純に邦画豊作だったと思うし。ちなみに次点は葛城事件、FAKE、太陽、リップヴァンウィンクルの花嫁、イット・フォローズ、アイアムアヒーロー、ケンとカズあたりです。

 

敢えてワーストを挙げるなら間違いなく『家族はつらいよ』ですね。劇場で映画を観るのがこんなに苦痛だったことはもう今後ないんじゃないかな。誰も観てなくて愚痴れないのが尚更つらいよ。

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では皆さん、今年も良き映画ライフをお送り下さい!今年もよろしくお願い致します!

 

新作映画レビュー060: 『太陽を掴め』

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監督:中村祐太郎

出演:吉村界人、浅香航大岸井ゆきの、森優作、三浦萌、内田淳子、松浦祐也、古館寛治、柳楽優弥

 

 

大晦日ですね!良い映画ライフ送れましたか!

 

今年の映画締めは(厳密にはローグワン2回目だったんだけど)テアトル新宿この世界の片隅に…ではなく太陽を掴め!!でした!掴んだよ!!

 

新鋭の中村裕太郎監督(弱冠26歳)が若手のホープたちと作り上げた意欲作ですね。ちなみに氏の作品は『あんこまん』『雲の屑』は観てます。雲の屑は大好き。

 

今作でも終盤の熱量はさすが中村監督だなと思いました。吉村界人演じる八方塞がりな若者が、彼にとっての太陽たるヒロインを掴もうとするための我武者羅な叫びがガツンと響きました。正直達者な演技をする人ではないと思うけど中村監督と一丸となって発する熱がこっちまで伝わってくるようなシーンでした。ロケーションが割と何でもない公園のベンチなのもなんかいいよ。兄の来訪の後部屋で一人キレるシーンとか、映画全体のテンションが彼のエモさによって押し上げられていた。とても良かった。

 

ただその後の押入れの中(?)のくだりでちょっと鎮火されちゃった感じは否めない。あと内田淳子さんとの関係性は台詞じゃないところでもっと示せたらよかったと思う。「あなたは私の言う通りにしてればいいのよ」の一点張りだったから、ベッドのシーンみたいのがもっと見たかった。

 

浅香航大さんって初めてちゃんと見たんだけどシンプルにかっこよかった。黒で統一されたコーディネートとかたまに見せるちょっと荒れた感じとか…声もいいなあ。

 

岸井ゆきのさん演じるヒロインの描写にはかなり不満があった。彼女が一線を越える理由がほとんど伝わってこなかったので悪い意味で驚いた。その場の空気に流される芯の弱さを持った彼女に岸井さんのルックスや雰囲気はとてもマッチしていたと思うけど、いかんせん話の方からもっと裏打ちがあればと勿体無さを感じた。

 

なのでどうしても彼女に関しては性悪というか、劇中の台詞を借用するなら「なんなのお前」「ビッチ」という印象が拭えない。ここが一番残念に感じた。相対的にヤット(主人公)が求めるものにこっちが肩入れできず、全体的にノレない感じになってしまった。彼女を嫌っていたあの子に幸せになってほしいって思ったの自分だけじゃないよな……。

 

指摘が多めになってしまったけど、とっても応援したくなる、熱が伝わってきた作品です。

 

では皆さん、良いお年をお迎え下さい!

新作映画レビュー059: 『ドント・ブリーズ』

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監督:フェデ・アルバレス

出演:ジェーン・レビ、ディラン・ミネット、ダニエル・ゾバット、スティーブン・ラング 他

製作:サム・ライミ

 

 

評判を聞いてあらすじだけ読んでいきました。もうこれが一番言いたいことなんですけど、予想を遥かに超えて面白かったですよ。単純な面白さだけなら今年ベスト級です。僕はホラー映画が得意じゃないしところどころ半目で観てたんですけど、観終わったあとは面白さがすべてを上塗りしていて興奮が収まりませんでした。あれだけ限定された空間(2階と地下の一軒家)で盲目の老人と盗人3人がすったもんだするだけでこんなにエキサイティングなんですか?映画ってすごいね。観る前は「お、88分!丁度いいね~」と思ってたのですが「え、(良い意味で)188分と見間違えたのかな」と本当に思いました。濃かった。特濃。年末にこういうのがぶっこまれてくるからたまりません。たまんねえ!!!!

 

僕の中で「面白い映画」って得てしてその場限りのものになりがちで、観て2ヶ月もすると何も覚えてないみたいなことがザラなんですけど、この映画はそうはならなさそうです。ただのホラー映画にとどまらないものがあるというか。なぜかっていうとこの作品はホラー映画言えど、純粋な人間対人間の構図であるから。もっと言えば被害者対加害者の関係性が描かれているからだと思います。その一筋縄ではいかない割り切れなさがビターな後味として残っている。

 

個人的にはあるものを通して盲目の老人が「侵入者が3人いる」ということに気づいた時、少し怯えたような表情をした瞬間が白眉でした。この時僕は13日の金曜日におけるジェイソンだと思っていたこの老人が単なる一般人かつ一方的な被害者であることを思い出してハッとしたのです。ましてイラク戦争に従軍した結果視力を失ってその後あんなことがあったのでは全くこの人のことを怖がったり、することを非難したりなどできません。盗人死すべし!!

 

気持ちとしてはそんな感じだったのですが、それだけに止まらないのがドント・ブリーズ。おじいさんが我々の同情心を振り切るクレイジーさを発揮して話をドライブさせていくところが最高でした。かと言ってヒロインを応援するとおじいさんの口の中にあれぶっ込んだりするしもう俺どうしたらよかったんだよ。

 

勿論ヒロイン側も強盗に走るだけの動機はあったし、家主が盲目とわかれば躊躇もする人間的なところはあるわけなんですけど、だからこそ向こうも人間だからどっちが勝っても後味悪いよお。全部社会が悪い!

 

というのは冗談としても、社会問題の被害者二人が富の奪い合いをしてるっていうその様自体がホラーになってるって風刺的なところもあるんだろうかね。それもまたやだ!!でも最高に面白いのもまたまたやだなー!!!最高!!最高に最悪なのが最高!!

 

新作映画レビュー058: 『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』

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監督:ギャレス・エドワーズ

出演:フェリシティ・ジョーンズディエゴ・ルナ、アラン・テュディック、ドニー・イェンチアン・ウェンベン・メンデルソーン、リズ・アーメット、マッツ・ミケルセン、ジミー・スミッツ、フォレスト・ウィテカー

 

内容に触れてるので未見の方は読まないほうがいい!!

 

実は15日の25時の回で観ていたんですが、28日に二回目を観るまで放置しておりました。まあ1回目がほぼ最速上映に行った挙句延々うとうとしていたという失態を犯したからというのが大半の理由なのですが。いやでも僕だけが悪いわけじゃないと思っている。理由は後述。実際クライマックスのスカリフの戦いまでは2回目でもだるかった。まして1回目はスカリフですらだるくて、ラストの10分でやっと起きた。

 

この映画の良いと思えたところはEP4のモノを使った画面がかっこいいという点に尽きる。ファンの皆さんが俺たちの見たかったスターウォーズと言いたくなるのもとってもわかる。煙から出てくるAT-ATみたいなやつ、地平線に浮かぶデススター、そして何よりベイダー卿無双。あまりのかっこよさに震え上がった『GODZILLA』のゴジラ初登場のシークエンスが抱かせた期待を裏切らない出来だったと思う。ここは大いに評価したい。というかこれら見たさというのが2回目に行った理由の半分。

 

じゃあもう半分はと言われると、分からないことが多かったから、だ。冒頭からかなり早いテンポで会話が続く上に知らない人の名前がポンポン出てきて面食らった。その中で「何のために何処へ行く」「この人はこういう人」という情報ももたらされるので僕の頭はパンクしていた。2回目にもなると「あ、ここでちゃんとセリフが入ってたんだな」「この人はこういう人なんだな」など納得するところも多かったけど1回目は正直辛かった。僕の場合わからないことがあるとほっとかずに考えながら観てしまうので目の前のシーンに集中できないことが多い。ちなみにMIローグネイションとかもそんな感じだった。

 

加えて単純にキャラクターに魅力を感じなかったのも辛かった。ここは2回観ても特に変わらなかった。皆さん揃って帝国と戦う動機が弱い(あるいは伝わってきてない)と思った。特にジンはソウに「帝国の旗が立つのを黙って見ているのか」とか言われて説得された風だったけど、こちらにはジンとソウの関係性がいまいちわかってないので全然納得できなかった。内心そういう正義感はあったけど捨てられてやさぐれてただけだったのかな。せめてソウとの別れのシーンは台詞だけで処理せず描くべきだったんじゃないのかと思ってしまった。ソウが「俺を殺しにきたんだろ」などといきなりヒスってるのもよくわからなかった。そういう訳わからなさを残したままソウは死んで話が進んでいくからいまいちノレなかったんだと思う。ソウの何だったんだ感はいまでも拭えてない。

 

だから各々のメンバーがジンを信用してチームローグ・ワンになっていく過程もなんかアガらない。というか過程があまりない。なし崩し的にともに行動しているだけで、命懸けで使命を果たすはぐれものチームにはあまり見えなかった。2時間半で旧作ファンサービスやりながら新しいキャラを出して紹介して仲良くさせて殺すのは大変なんだと思うけどもう少しどうにかならなかったのか。あ、でもK2SOは大好き。取り残される無能ドロイドコンビは彼を見習え。というか有能すぎてなんであの型のドロイドがのちのシリーズにいなかったんだとすら思う。高級なのかな。

 

敢えて言うなら僕がここで語った不満点はフォースの覚醒が完璧に達成したことでもあると思う。比べるものでもないかもしれないけど、コンセプトとしても僕は断然エピソード7を支持したい。

 

あとドニー・イェンが最期にアップになるシーンで杖に仕込んでたライトセーバーを発動させて、そのままなんやかんやでベイダーと戦って死ねば(例え瞬殺でも)それだけで100億点だったんだけどなあ。そこも超残念。やれよ!!!

新作映画レビュー057: 『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ』

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  『仮面ライダー 平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴーストwithレジェンドライダー

監督:坂本浩一

出演:飯島寛騎、西銘駿、瀬戸利樹、山本涼介、松本京恭、磯村勇斗、松田るか、大沢ひかる、柳喬之、小野塚勇人、甲斐翔真、工藤美桜、白石隼也竹内涼真棚橋弘至、鈴之助、山本千尋高野洸博多華丸野村宏伸佐野史郎

 

 

タイトルが長え。

 

今年もこの時期がやってきた。去年の冬映画は惨憺たる結果だった。鶴太郎と竹中直人のアドリブ合戦は超笑ったけど…もう悲惨だった。あれが制作過程に事故がなかった結果だったのなら逆にすごい。

 

基本的に冬映画(MOVIE大戦シリーズ)はテレビ放送中の現行ライダーのスペシャルストーリーと、10月で放送が終わった先輩ライダーのアフターストーリー、そしてその二つの話が合流して二大ライダーが共闘するMOVIE大戦パートの三部構成が例年のパターンだった。去年から最初から最後まで二つのライダーが共闘する構成に変えてきて、今年はそこに更に3人の先輩ライダーが参戦する形になった。

 

まず良かったのは現行のエグゼイドと先輩のゴーストの話がベースとしてしっかり成立していたこと。エグゼイドは研修医、ゴーストは一度死んで蘇った高校生というそれぞれの立場がやりとりを通して相互作用的に引き立っていた。特に永夢には身の回りに後輩のような立ち位置のキャラも完全に信頼できる対等な力を持った味方もいないから、タケルとの関係性は新鮮だった。というか単純にエグゼイド本編がギスりすぎているので安心感があった。信頼できる仲間っていいね(小並感)。ラストのひと悶着からのやりとりは唐突すぎるけど蛇足ではなくとてもグッときたよ。

 

そしてその土台の話に先輩ライダーたちもきっちり絡んでくる仮面ライダーには春映画というのがあって(『仮面ライダー1号』の記事参照)、そっちは例年話がめちゃくちゃなところに最終決戦で先輩方が大挙して押し寄せてくるので何の感慨もないんだけど、今回はラストの5大ライダーの横並びにカタルシスを感じられた。

 

特に仮面ライダードライブ、泊進ノ介は三人目の主役と言っていいレベル。後輩たちの危機的状況に変身して助太刀できないもどかしさを抱えながらも刑事として、そしてベルトはなくても仮面ライダードライブとして敵に立ち向かう姿は感慨に堪えないものがあった。しかも一つ下の後輩のタケルがその信念を受け継いでいて、後輩(年上の医者)に説教する場面まであっておお、もう…。タケル殿がああやって感情をむき出しにするのって意外と珍しい気がした。高校生のくせに最初っから利他的な人格者だったからな。でも怒るのも他人のためってのも彼らしい。あのシーン好きだなー。生身アクションが大好きな坂本監督の心の声にも聞こえたよ。久しぶりに登場した仮面ライダーウィザード、操真晴人も相変わらずで安心した。本当に今何やってるんだよって思うけど、たぶんプラプラしてたらたまたま今回の件に関わっちゃったんだな。

 

アクションシーンは今までの坂本監督作品以上のてんこ盛りで目がどっと疲れた。ただサービス精神からくるフォームチェンジラッシュが勝つ手段でなく目的化しちゃってる気もするし、シーンが変わるともう姿も変わってたりしてそこはちょっと、まあキツく言うなら雑かなとも思う。一回の変身の演出にこだわりまくる柴崎貴行監督ほど大事にやれとは言いませんけどね。とは言え出してくれること自体は本当嬉しい。オールドラゴンとかタイプフォーミュラとか大好きなので。

 

呼べば絶対出てくれそうな佐野岳がいなかったのはマジで残念だったけど、総じて大満足です!!

 

 

 

 

来年の春映画はあれが帰って来るみたいで楽しみだなあ!!!!

 

 

新作映画レビュー056: 『この世界の片隅に』

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監督:片淵須直

原作:こうの史代

音楽:コトリンゴ

出演(声):のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞小野大輔潘めぐみ岩井七世 、 澁谷天外 他

 

 

僕が『シン・ゴジラ』を見て「これは!!!」と思ったカットで、首相官邸の前でシュプレヒコールが鳴り響く中仕事を続ける巨災対メンバー、の後ろで掃除のおばちゃんがカップ麺の容器やらがパンパンに詰まったゴミ袋を片付けるカットというのがありました。巨大不明生物が現れても、人は食べるし、ゴミは出ます。ゴミを捨てる人もいるし、その人もまた巨大不明生物が出現したその世界に生きている。考えれば当たり前のことですが、そういうディティールを描くことがその作品の世界を豊かにすると思うわけです。これで僕が作り手の人だったらかっこいいですね。

 

この映画はその掃除のおばちゃんたちを主人公に据えた戦時中のお話です。毎日洗濯して料理して畑仕事して…。戦争映画だったら画面の端にチラチラ映るかどうかってレベルの人たち。そんな話なのにどうしようもなく豊かで面白い。生活の中にあるアクションや達成感、種々の感情をつぶさに捉え、その喜びを僕らに疑似体験させてくれる。何をするにも手間がかかり、基本的に何かが不足している時代。生活レベルの困難を身体と頭を使って乗り越えることで発生する喜びが自分のことのように嬉しくなってしまう。僕は老人たちが「昔はモノはなかったが心は豊かだった」とかそういうこと言うのがめっちゃ嫌いですけど、この漫画を読むと自発的にそういう風に思える。人に言われて受けれいたくないことでも、言葉でなく体験できれば本心からそう思えるというのはフィクションの力かもしれません。そんな漫画です。すごい漫画です。

 

シン・ゴジラ』におけるゴジラはこの作品における戦争です。もっと言うならそれは空からやって来る。しかもゴジラと違って見えにくいのでいきなりきます。個人的にアニメ化の恩恵を一番感じたところです。怖いんだよ空爆が。それを映画館の音響でフィジカルで体験できるのが最高。家のテレビで観るのとは感じ方が全然違うと思う。アニメという意味では、割にゆっくりな動作が多い日常パートと、物凄い速さで落ちてくる焼夷弾(?)の対比も非日常感がとても出てた。アニメ映画化した意味がしっかりある。

 

だからよく見る終戦の玉音放送の瞬間も悔しさが伝わってくる。質素倹約という形で協力して、種々の犠牲も払ったのに負け。戦争に賛成とか反対とか(そもそも状況に巻き込まれてるだだし日々の生活に精一杯なのでそういう話が一切出てこないのもいい)関係なくそこは理屈抜きで悔しいんだろうなと。

 

あとグッときたのは戦争が終わっても明日も明後日は来るってところ。当たり前なんだけど。そんなことで感動しちゃえるんですね。

 

すずさん(と妹)はかわいい。幼少期から同じ声なのはちょっとあれだけど。ツレは周作さんがかわいいって騒いでた。